神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2019-01-01から1年間の記事一覧

柳田國男に負けじとタピるオタどん

河原町で行列のできる店というと、この間までは抹茶館で、いつ見ても100人以上並んでいたものだった。その後、6月にできた生タピオカの専門店モッチャムに人の波は移った。今はやや落ち着いて、並ぶ人の数も減っている。 ところで、テレビでも紹介されたとい…

井上円了『妖怪学』(妖怪学刊行会)の広告を載せた川口海三の『民衆新報』

昨年4月四天王寺の大古本祭りで『民衆新報』29号(民衆新報社、昭和6年8月)を発見。シルヴァン書房出品。発行所は東京市京橋区槇町2丁目の民衆新報社で、発行人は川口海三。。シルヴァン書房ではよくあることだが、値段が書かれていない。店主に訊くと、「ほ…

西田天香の『光』(一燈園)に金子白夢や霊光洞の西昌祐

第1回古本バトルできしもとげん『宗教と国会議員』(サークル「ガラスの動物園」)を紹介したが、その後2号、3号(FINAL)と刊行された。今回いただいたFINALには、西田天香など142人の国会議員が登場する。そう言えば、地元京都の山科に一燈園資料館があるの…

軸原ヨウスケ・中村裕太『アウト・オブ・民藝』(誠光社)からアウト・オブされた原始藝術品蒐集家宮武辰夫

京都外大国際文化資料館で開催中の「ラテンアメリカの古代美術展」を見てきた。10月12日(土)まで。4階の企画展示室に加えて、5月から3階にコレクション展示室ができていた。驚いたのは、この展示室は豊雲記念館が所蔵していた小原豊雲コレクションや宮武辰夫…

京都のオカルト書店?関書院の関為之祐と兄の社会学者関與三郎

京都のオカルト書店というと拙ブログの読者の多くは、人文書院の前身日本心霊学会を挙げる人が多そうだ。しかし、「『京都人物山脈』(毎日新聞社)に万屋主人金子竹次郎 - 神保町系オタオタ日記」で紹介した『京都人物山脈』(毎日新聞社、昭和31年12月)の「…

栗田英彦論文が『近代京都の美術工芸』(思文閣出版)に出てくるぞ

並木誠士編『近代京都の美術工芸ーー制作・流通・鑑賞』(思文閣出版、平成31年3月)所収の中尾優衣「雑誌にみる近代京都の美術工芸ーー黒田天外の『日本美術と工芸』をめぐって」を読んでいたら、ビックリ。 振り返ってみると、黒田が仏門に入る兆しは、いく…

谷村文庫の谷村一太郎は本当に東京専門学校卒か

京大附属図書館に谷村文庫がある。谷村一太郎の旧蔵書からなる特殊文庫だが、『京都大学附属図書館六十年史』(昭和36年3月)によれば、 谷村一太郎氏は明治4年(1891)富山県福光町の素封家に生れ、長じて慶応義塾大学に入学したが、のちに東京専門学校(早…

京都の上野、岡崎にもあった博物館ーー平瀬與一郎の平瀬貝類博物館ーー

「もし京都が東京だったらマップ」というのがネットで話題になり、本になったことがある。デパートのある四条通りは銀座、京大を有する吉田は本郷だそうだ。美術館、動物園、図書館がある岡崎は、上野だ。しかし、上野とは違って岡崎には博物館がない。ところ…

堀内庸村と共に青年日本社(青年文化振興会)を創立した東白陵

三密堂書店の100円均一台で東白陵という木津高校の教師であった画家の伝記を見つけた。牧野芳子『鹿背山の画教仙人東白陵』(平成12年7月)である。知らない画家だし、木津高校とは縁もゆかりもないが、略年譜の昭和7年の条に「堀内庸村氏と青年文化振興会[マ…

伊良子清白の日記から見る岩田準一の文献収集

南方熊楠、福来友吉、江戸川乱歩らが登場するというので柴田勝家『ヒト夜の永い夢』(ハヤカワ文庫JA、平成31年4月)を買ってある。乱歩と親しかった岩田準一も登場するらしい。また、皓星社から『岩田準一日記』の刊行が予定されているようだ。そういえば、…

京都工芸繊維大学美術工芸資料館で「図案家の登場ーー近代京都と染織図案Ⅲ」展が始まった

美術工芸資料館では「近代京都と染織図案」展として、一昨年「纏う図案」を、昨年「掌の中の図案」を開催した。第3弾の今年は「図案家の登場」である。→「京都工芸繊維大学美術工芸資料館」 無料で10月6日(日)まで開催なので、皆様どうぞ(日曜日・祝日は休館。ただ…

京大三高基督教義研究会と『フランダースの犬』最初の訳者日高善一牧師

すっかり児童の姿が見られなくなった国際児童文学館で、小展示「大阪府立中央図書館 国際児童文学館 資料小展示「フランダースの犬 ―ネロとパトラッシュのさまざまな姿―」 - 大阪府立図書館」を開催中。日本における最初の翻訳書は日高善一(柿軒)訳『フラン…

金魚コレクターの松井佳一が亡き息子に贈った『神を求めて』

昨年かわじもとたかさんが上洛された際に、お土産として『日本蒐集家名簿』昭和13年版(日本古書通信社、昭和13年6月)をいただいた。ありがとうございました。重宝しているが、例えば愛知県の項を見て見よう。92名の人名、住所、蒐集書目・研究事項が掲載さ…

金閣寺の楼閣に人が写っている絵葉書は珍しい!?

平成28年5月の寸葉会の案内葉書に金閣寺の楼閣の2層目に人が写っている絵葉書が発見されたという報告があった。それまでは、そういう絵葉書は存在しないというのが定説だったらしい。へぇーと思ったが、その後平成29年四天王寺の骨董市だったと思うが、たま…

玉城文庫から『家庭之友』(金の鳥社)の終刊号をーー戦争と婦人雑誌の統廃合ーー

京都の古本まつりで絵葉書、チラシなどの紙もの御三家と言えば、シルヴァン書房、京都スターブックス、玉城文庫だろうか。特にシルヴァン書房(矢原さんの方)が出すいわゆる「寸葉品」は量が多く、シルヴァン書房でシャカシャカ漁ると疲れてしまうので、私は…

演歌師添田唖蝉坊の正相正体健康法

添田唖蝉坊・知道親子には多少興味があって、リブロポートの民間日本学者シリーズ、木村聖哉『添田唖蝉坊・知道ーー演歌二代風狂伝』も買ってある。古書英二(練馬区)の500円から200円に値下げした値札が付いているので、西部古書会館の古本市で買ったか。余…

京都帝国大学附属図書館の兵働竹酔

冨山房の『国民百科大辞典』14巻(昭和13年4月)の「寄稿家名鑑」には、数名の図書館学・書誌学関係者が見える。 庄司浅水 [製本・書籍] 田中敬 大阪商大図書館嘱託 [図書学] 長沢規矩也 法政大学講師 [書誌学(支那)] 弥吉光長 丸善株式会社 [図書館] 著…

玄洋社関西支部長だった日本少女歌劇座の興行主島幹雄

今日から大和郡山市で開催の「旅する少女歌劇団 日本少女歌劇座展」。奈良女の磯部敦先生のtwitterで開催されることは知ってはいたのだが、今日の京都新聞に詳しい記事が載っている。1921年大阪・日下温泉で誕生した日本少女歌劇座の運営を引き継いだ奈良・大…

 [トンデモ][柳田國男]国際政経学会の増田正雄は昭和34年まで生存していた

高校の日本史で習った「西原借款」を覚えているだろうか。大正期中華民国に対する借款を担当した西原だが、その日記『西原亀三日記』(京都女子大学、昭和58年2月)が山本四郎編で刊行されている。巻末の「主要人名・事項索引」を先に見ると、面白そうな人物は内田…

三田村鳶魚と井上正鉄の禊教

朝倉治彦編『鳶魚江戸学:座談集』(中央公論社、平成10年12月)の「鳶魚と早稲田」に禊教が出てきた。 朝倉 戦後、戦争中からはじまって戦後まで、偏*1無為という人の研究をずっとやっている。菊池先生ご存じありませんか。 菊池(明) 私は知りません。禊教(ルビ…

阪神百貨店夏の古書ノ市で見つけた板祐生の『杏青帖』

梅田の阪神百貨店で明日まで夏の古書ノ市が開催中。まだ行っていない方は是非どうぞ。場所柄白っぽい綺麗な本が多いが、2年前にやや古い冊子を拾った。板祐生『杏青帖』(昭和24年9月)、非売品、8頁。矢野書房出品で500円。祐生は孔版画家で、鳥取に祐生出会…

佐賀図書館長西村謙三の印が押された西周訳『性法説約』

吉岡書店で見つけた西魯人(西周)訳『性法説約』については、「吉岡書店で西魯人訳『性法説約』を」で言及したところである。最初に本書を発見した金子一郎氏の本には「宮尾」印が押されていたらしいが、実は私のにも印が押されていた。 読めなかったのだが、twit…

河井酔茗の『女性時代』創刊前後

河井酔茗が昭和5年11月に創刊した『女性時代』については、「昭和18年河井酔茗主催の文庫会に集まった誌友達 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。その『女性時代』の創刊前後の状況が、伊良子清白の日記*1に書かれていた。 (昭和五年) 八月十八…

書砦・梁山泊京都店の本で知った御所内の京都府立図書館の状況

今年の下鴨納涼古本まつりも今日で終わった。初日は某書店の均一台に一番乗りしたがカラブリであった。まあ、そういうこともある。さて、古本まつり3日目に行った帰りに寺町の書砦・梁山泊京都店をのぞいてきた。ここは図書館のように広く、ずらりと書棚が並…

セセッション式流行の大正初期に発行された村上辰午郎の『大正婦女社会』

第1回古本バトルは多少好評だったようで、第2回古本バトルも開催された。第2回分は取材を受けて、京都新聞6月28日朝刊の「多面鏡」欄に掲載され、石原和先生持参の『一尊如来教々義』(一尊如来教団)や私が持参した『神代文化』(神代文化研究所)が紹介された。…

3年後の令和4年が人文書院100周年

8月10日(土)丸善の京都本店で、本のつくり手である著者や編集者と読者を直接つなぐイベント「honto店舗情報 - 丸善創業150周年記念 京都BOOKCON 読み手と作り手をつなげる本の祭典」があって、人文書院のブースもあるらしい。3年後の令和4年が創業100周年にな…

戦前の京都で発行された健康雑誌『かゞやき』と富田精・富田房子夫妻

一時期健康法とか霊術関係の本を熱心に読んでいた。田中聡『健康法と癒しの社会史』(青弓社、平成8年9月)もその一冊である。同書26頁に昭和初期における健康雑誌の登場に関する記述がある。 昭和初期には、『健康時代』(昭和五年=一九三〇年創刊)や『健康日…

オカルトに好意的だった冨山房の『国民百科大辞典』

『国民百科大辞典』10巻(冨山房、昭和11年7月)に心理学者で早稲田大学文学部講師だった戸川行男が「念写」の説明を書いている。 ねん-しゃ[念写][[英]thought photography] (略)霊媒ノ思想又ハソレヲ通ジテ他人ノ思想ヲ写シウルトノ主張者ガ現レ、思想写真又ハ…

今なお古書価沸騰中!桑田欣児の霊術本

先日街角で本ノ猪君とすれ違って、そう言えば四条河原町の京都マルイ前で古本市をやっていたなあと思い出し、のぞいてみた。そうすると、桑田欣児『家庭読本』(真生会本部、昭和12年12月)を発見。東京くりから堂出品、52頁の小冊子で300円。発行所の真生会本…

『国民百科大辞典』(冨山房、昭和9年~13年)に結集した宗教学者達

『国民百科大辞典』14巻(冨山房)の「寄稿家名鑑」に挙がった宗教学者・宗教関係者の名前、肩書き、担当分野を仏教、神道、キリスト教に分類してみた。 ・仏教 石井教道 大正大学教授 仏教(浄土宗) 伊藤東慎 文学士 仏教 宇井伯寿 東京帝大教授・文学博士 仏教…