神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

川柳家岸本水府の青年時代

今年の水の都の古本展は昨年のようなモズブックス3冊500円コーナーはなかった。しかし、モズの雑誌や絵葉書に色々よいものがあった。『愛書』第1輯(台湾愛書会、昭和8年6月)が1500円(!)で出てたが、持っているのでゆずぽんさんに教えてあげた。絵葉書コーナ…

芹沢光治良と世界紅卍字会後援会

日記、特に文学者の日記はアンテナを張ってできるだけ読むようにしているが、『芹沢光治良戦中戦後日記』(勉誠出版、平成27年3月)が出ているのに今頃気付いた。まだ読みかけだが、世界紅卍字会後援会と思われる団体が出てきて驚いた。 (昭和十六年) 二月二十…

臨川書店の古書バーゲンセールでまさかの『ボルネオ新聞』と『ジヤワ新聞』

一昨年臨川書店の古書バーゲンセールでは目を疑うような出品があった。『ボルネオ新聞』と『ジヤワ新聞』である。どちらも龍溪書舎から復刻版が出ているが、原本は朝日新聞社大阪本社が持っているぐらいか。それは大阪市の有形文化財に指定されている。 見つ…

杉浦非水装幀のドストエフスキー著・三浦関造訳『カラマゾフの兄弟』(金尾文淵堂、大正3年)

先日の大阪古書会館たにまち月いちの古書即売会では、ある雑誌の創刊号を拾ったが、それについては別途皆さんが知る機会があるかもしれない。今回は、矢野書房出品のドストエフスキー著・三浦関造訳『カラマゾフの兄弟』第1巻(金尾文淵堂、大正3年10月)。箱…

究極の精神療法ーー川上又次「日本心象学会」による遠隔施術ーー

寸葉会で川上又次の日本心象学会関係史料を拾う。2,000円。何回か見かけたが、やや値が張るので買うまで時間がかかった。吉永師匠なら速攻で買っただろうか。写真の『遠隔施術申込書』のほか、昭和2年8月付け大阪の西川某宛の封筒や送り状もあった。送り状に…

明治34年1月京都府立図書館へ通う山本宣治

今年は山宣こと山本宣治の生誕130年・没後90年らしいので、宣治と京都府立図書館の関係についてアップしてみよう。 『山本宣治全集』6巻(汐文社、昭和54年10月)で大正3年7月17日付け竹久夢二宛山本宣治書簡へ次のような注がある。 (略)夢二と宣治との交際は…

白洋舍のPR誌『白洋舍だより』の表紙に魅せられる

『白洋舍だより』1巻2号(白洋舍)。平成29年にタツタビルのイベントに出店していた古書鎌田から購入、500円。表紙の絵だけ見ると戦後のものかと思ってしまうが、上部に「戦時被服国策に順応して」とあるように戦前の昭和13年8月発行。内容は、 時局と家庭経済 …

『現代猟奇尖端図鑑』(新潮社、昭和6年)の内容見本ーー尖端人たるを望まぬ人は見るなーー

いっぱしの古本者になると、持っていたくなる佐野繁次郎装幀の『現代猟奇尖端図鑑』(新潮社、昭和6年4月)。もっとも、「猟奇」というだけで毛嫌いする人も多いだろう。割合よく見かける本で、入手困難ではない。私は特に持っていたいとは思っていなかったが、…

からふね屋印刷所の堀尾幸太郎と白川書院の臼井喜之介

百万遍の吉岡書店の外の台*1で『東京と京都』125号(白川書院、昭和36年5月)を見つける。編集兼発行者は臼井喜之介。「武林無想庵の渡仏を助けた京都初の洋画商三角堂の薄田晴彦」で言及した島岡剣石が「京の夜店」を書いていたので購入、300円。内容は、ワキヤ書…

村山知義の舞台装置「朝から夜中まで」(築地小劇場)が絵葉書になっていた

昨年寸葉会で入手した絵葉書は、大正13年12月築地小劇場で上演されたゲオルク・カイゼル作、北村喜八訳、土方與志演出の『朝から夜中まで』の舞台装置であった。村山知義が担当したこの構成派の舞台装置が絵葉書になっていたのだ。平成24年世田谷美術館で開…

大正6年1月京都府立図書館でラブレターを書く土田杏村

大阪市平野区の古書からたちがtwitter(@kosyokaratachi)で『土田杏村全集』から杏村の書庫・書斎を紹介していたので、便乗して杏村ネタを。杏村の没後刊行された『妻に與へた土田杏村の手紙』(第一書房、昭和16年12月)には、大正5年5月から6年11月までに杏村…

研究者にも忘れ去られたメソジスト派伝道師としての俳人岡野知十

善行堂に俳書がまとまって入っていた。俳書そのものに関心はないのだが、もしやと思って奥付をチェックすると金尾文淵堂発行のものがあったので拾っておく。併せて、岡野知十『晋其角』(裳華房、明治33年3月)が100円均一に出ていたのでこれもゲット。岡野と…

バルザック研究家水野亮を生んだ信濃図書館

どこで入手したか、創元社の月報『創元』1巻5号(昭和15年8月)が手元にある。『神保町が好きだ!2018』の例の「出版社・書店等PR誌一覧」(飯澤文夫)によれば、昭和15年1月創刊、昭和17年12月終刊。高橋輝次『ぼくの創元社覚え書』(亀鳴屋、平成25年10月)には青…

太田三郎表紙絵の『婦人雑誌』創刊号(増澤出版社、明治44年11月)

木股先生のブログが昨年12月から止まり、古本市でもお見かけしなくなって2ヶ月経った先月。木股先生の分も頑張って拾わねばと気合いを入れて臨んだ大阪古書会館たにまち月いちの古本市。ありました!木股先生もびっくらちょ(?)の太田三郎が表紙絵を描いた『…

杉浦非水表紙絵の『東京』創刊号(大正13年8月)内容見本

林哲夫氏のブログに負けじと書影をどかーんとアップすることにしました。昨日とは分かる人には分かる杉浦非水つながり。実業之日本社が大正13年8月に創刊した雑誌『東京』の表紙絵は杉浦非水であった。その内容見本を昨年大阪天神さんの古本まつりで初日では…

今日はお芝居、明日は三越ーー「今日は帝劇、明日は三越」に至る道ーー

主タイトルを見て、「今日は帝劇、明日は三越」の間違いだろうと思う人も多いだろう。著名なそのコピーが確立するまでは、実は変遷があった。嶺隆『帝国劇場開幕』(中公新書、平成8年11月)によると、明治38年三越に入社した浜田四郎が大正初年帝国劇場の筋書で…

カフェープランタンで天狗倶楽部と喧嘩した永井荷風

大河ドラマ「いだてん」に押川春浪らの天狗倶楽部の面々が登場し、話題になっているらしい。テレビを持ってないので、どんな感じなのか分からないがバンカラの雰囲気はうまく出ているだろうか。天狗倶楽部については、「押川春浪率いる天狗倶楽部が立てた天狗塚…

『少年少女画報』2号(東京社、明治40年9月)に水野葉舟の童話

これまた文庫櫂で見つけた珍しい雑誌。『少年少女画報』2号(東京社、明治40年9月)、口絵が16頁と葉舟「おとぎばなし森の小供」・懸賞一口噺など16頁。少し破れがあって1000円。少年少女雑誌の古本というと落書きが多いが、これにはほとんど書き込みが無かった…

昭和12年9月歌舞伎座で上演された三角寛原作『山窩の女』

山窩(サンカ)という存在を始めて知ったのはいつのことだっただろうか。UFO超心理研究会に入る前から知っていたのか、入ってから部員に聞いたのかもはっきりしない。確実なのは、京大教養部の図書館で書庫*1に並んでいた『三角寛全集』(母念寺出版)を全巻読破…

大正モダニズム下のプラトン社を描く永美太郎『エコール・ド・プラトーン』

大正13年に『苦楽』を創刊するプラトン社を描いた永美太郎『エコール・ド・プラトーン』(リイド社)というコミックが出たというので、今読んでいます。小野高裕・西村美香・明尾圭造『モダニズム出版社の光芒:プラトン社の一九二〇年代』(淡交社、平成12年)…

神戸学生青年センターの古本市で国内の図書館にない『天才児福永寛』を発見

今年も神戸学生青年センターで3月15日(金)から5月15日(水)まで「六甲奨学基金のための古本市」が開催されます。文庫・新書は100円、単行本は300円というお得な古本市である。全国から寄付された本を販売し、売上は留学生支援活動のための六甲奨学基金の一部に…

上田貞次郎が見た明治30年の高等師範学校附属教育博物館

国立科学博物館の前身である教育博物館は明治22年から湯島聖堂内の高等師範学校(後に東京高等師範学校。現・筑波大学)の附属施設となっていた。その時期の明治30年上田貞次郎が観覧していて、日記*1に残してくれている。 (明治三十年三月) 六日 土 学校終了…

明治・大正期に京都にあった仏教図書出版と蔵経書院

数年前の寸葉会で仏教図書出版の社屋の図面(『仏教図書出版株式会社建物平面並表面略図』)を購入した。何回か見かけたのだが、売れ残っているので私しか買う人がいないだろうと買ってみた。ひげ美術出品、1000円。図面によれば、1階に製版部、印刷部、鋳造部…

佐々木桔梗旧蔵の『日本空飛ぶ円盤研究会々員名簿』

詩人古本屋の都崎友雄(ドン・ザッキー)が日本空飛ぶ円盤研究会の会員だったことは、「ドン・ザッキーが空を飛ぶ」で言及した。その他、星新一や三島由紀夫も会員だったことが知られているので、名簿を欲しいなあと思っていたら、ようやく入手できた。『日本空…

掃苔家高野金太郎は昭和7年暑中見舞状交換会の会員だった

かわじもとたかさんがおいかけていた掃苔家高野金太郎については、「求む!掃苔家高野金太郎に関する情報」で紹介したところである。その後、情報提供はなかったが、かわじさんから関係資料をいただいた。かわじさんにして判明しなかった没年や遺族などが私に…