神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『現代猟奇尖端図鑑』(新潮社、昭和6年)の内容見本ーー尖端人たるを望まぬ人は見るなーー

f:id:jyunku:20190322190616j:plainいっぱしの古本者になると、持っていたくなる佐野繁次郎装幀の『現代猟奇尖端図鑑』(新潮社、昭和6年4月)。もっとも、「猟奇」というだけで毛嫌いする人も多いだろう。割合よく見かける本で、入手困難ではない。私は特に持っていたいとは思っていなかったが、善行堂で勧められて函付きを1万円で購入。相場よりやや安いとはいえ、高額品なので迷ったが内容見本付きが決め手。本書を持っている人は山ほどいるだろうが、内容見本を持っている人はいるだろうか。表面上部の写真を挙げておくが、裏面もある。「猟奇界の騎士悉く登場‼見よ大附録の壮観を‼」の惹句で附録*1の紹介のほか、実際には採用されなかった女性の写真も載っている。ここでは、「現代猟奇尖端図鑑十戒」が面白いので紹介しておこう。

1 血圧の高い人は見るな
2 心臓に自信のない人は見るな
3 貧血症の人は見るな
4 時間を吝む人は見るな
5 仕事をしかけた人は見るな
6 子供の前では見るな
7 奪合ひになるから、一度に二人で見るな
8 ランデヴーには鎮静剤を用意せずして見るな
9 官能的の快感を希はぬ人は見るな
10 尖端人たるを望まぬ人は見るな

ところで、明日・明後日同志社大学で大正イマジュリィ学会第6回全国大会の国際シンポジウム「戦間期東アジアにおける大衆的図像の視覚文化論」中で「流布されたエロ・グロ・ナンセンスーー『現代猟奇尖端図鑑』と新聞広告」(名古屋芸術大学准教授松實輝彦)があるようだ。新聞広告ではないが、松實先生は内容見本を御覧になられただろうか。

*1:本書は、本篇246頁と附録46頁の両方で1冊の構成