日記、特に文学者の日記はアンテナを張ってできるだけ読むようにしているが、『芹沢光治良戦中戦後日記』(勉誠出版、平成27年3月)が出ているのに今頃気付いた。まだ読みかけだが、世界紅卍字会後援会と思われる団体が出てきて驚いた。
(昭和十六年)
二月二十一日
(略)
○紅卍字会に出る。心電(ママ)現象について非難した。言わないでもいいくらい非難した。心電(ママ)というのは見るのでなく感ずるのだと説いてみた。特に神と関連して心霊を現象化しようとする愚を説いてみた。議論になった。呉清源君が僕に賛成した。松井[七夫]中将もそうだ。
(略)
[ ]は校閲者による注、( )は引用者による注。「紅卍字会」は世界紅卍字会後援会のことだろう。同会の主事を務める小田秀人は交霊会好きだったから、芹沢らと対立したか。
小田と同会については、「戦時下の心霊実験と小田秀人」、「世界紅卍字会後援会でポルターガイスト現象」参照。呉と同会については、「呉清源と世界紅卍字会後援会」、「興亜院時代の志智嘉九郎と呉清源・小田秀人の世界紅卍字会訪問」参照。芹沢と小田が親しかったことは判明していたが、世界紅卍字会後援会に参加していたことは、本書で初めて確認できた。国際政経学会については研究者がいるらしいが、世界紅卍字会後援会についてもアカデミックに研究してほしいものである。もしかしたら、沼津市芹沢光治良記念館に史料があるかもしれない。
- 作者: 芹沢光治良
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2015/03/30
- メディア: 単行本
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