神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

求む!掃苔家高野金太郎に関する情報

近著『月の輪書林古書目録を一考す。』(杉並けやき出版、2016年1月)で古本者を唸らせたかわじもとたかさんが、16年もかけて追いかけているのが、掃苔家の高野金太郎。『黄土花』(ことはな)という個人誌で多くの芸人の墓を明らかにした人物である。かわじ…

三菱自動車工業が作った岩波文庫へのオマージュ、三菱文庫『志望暦』

尚学堂の均一台を善行さんに代わってパトロール。林画伯や近所の某氏とか競合相手の多い場所だ。パラフィン紙がまかれた昔の岩波文庫がポンと置いてあった。全然拾うつもりがなかったが、「MMCリクルートルーム編」とあるのが目に入る。「岩波文庫にして…

今注目のフリペ『ハンケイ500m』(union.a発行)

京都市営地下鉄のラックなどに置いてあるフリーペーパー『ハンケイ500m』を発見したのは、昨年9月のことで既に27号であった。隔月刊で毎号市バスの停留所から半径500メートルの範囲内を特集するようで、この時は岡崎道であった。「本物を知る「京おんな」の…

『ロマンス世界』1巻2号(双葉社、昭和23年8月)に未知の小野佐世男

さんちかホールのサンコウ書店出品で500円。46頁のカストリ雑誌。表紙に「特集夏の女 画と文 小野佐世男」とあり、「おっ、小野佐世男」と思ったが、表紙の女性の顔にもろ落書きがあって買う意欲を削ぐ。が、500円なので買って帰る。調べてみると、小野の「…

毎月一回ただの本がただでもらえる只本屋(ただほんや)

只本屋というフリーペーパーの専門店が開店したことは、昨年4月24日の京都新聞で知った。これによると、京都精華大や武庫川女子大の学生6人が集まり、関西初のフリーペーパー専門店を寺町通今出川下ルで毎月2日間限定で開店するという。その後、しばらくたっ…

ジョージ・ルーカスの印を彫った男

池田耕治『もぐら庵 遊びの印』第8集(もぐら庵穴ぐら、1994年2月)を井上書店で300円。著者は、自称「遊印家」だそうで、本書には芥川賞作家林京子、豊中の古書店松宮書店、米長邦雄名人、石川さゆりなど様々な人のために彫った石印の印影が原寸大で掲載さ…

臨川書店の古書バーゲンで井上活泉編『恩光集』(国文社、昭和15年6月)

臨川書店の月1回のバーゲンで100円。非売品、277頁。国文社は、京都市下京区猪熊通七条南入に所在。状態は良くないが、山室軍平の遺稿「心の病と其の救治」や生長の家総裁谷口雅春「他のために」などが載っているので、拾う。井上という人物は知らなかったが…

内堀弘氏もあきれた梁山泊の本の山

『書砦梁山泊創業者島元健作古稀記念集』(平成28年2月)を入手。目次は、 序にかえて(二代島元草多) 略歴 出会いからはや三十六年 山下勝義(唯書房店主) あの頃 矢野龍三(矢野書房店主) 島元さんは悪い人です 杉本信一(厚生書店店主) 師 中澤哲也(…

『南森町古本ガイド2016年版』をもらう

天三おかげ館で開催された南森町古本市で、『南森町古本ガイド』の2016年版をもらう。旧版は、縦長の二つ折のチラシであったが、今回はA5判、カラーで14頁。南森町駅周辺の10軒の古本屋の店舗情報、地図の他、各店9点ほどの古書目録が書影付きで掲載されてい…

オカルティストとしての下中彌三郎

中島岳志『下中彌三郎』(平凡社、2015年3月)は、超国家主義者としての側面が中心で、オカルティストとしての下中はあまり出てこない。その点で、やや物足りないものがあった。それでも、323頁で紹介された「万教帰一」『無派』昭和37年8月号は面白かった。…

吉田東洲の本に尾島真治登場

尾島真治という心霊学を研究していたらしいキリスト者については、「中山忠直の暴走する妄想(その1)」、「長尾真治ではなく尾島真治だった」や「『古人今人』の「知人消息」欄の資料的価値」で紹介したところである。その尾島が「戦後も活躍した藤沢親雄…

『古本月報』に見る敗戦後の京都古本屋模様

名古屋の山星書店にて1500円で拾った『古本月報』(古典社)の1〜7号揃い。入手困難らしいが、某氏に譲った。もっとも、金沢文圃閣から復刻された。山星書店自身が同誌2号と3号の「古本屋消息」に出てくるので、もしかしたら、買い取り品ではなく、古典社か…

『倫敦タイムス社寄書』に私立福岡図書館主の書簡

誰ぞの代わりに行った神戸サンボーホールで拾う。明治39年1月倫敦タイムス社東京支社が、「大英百科全書日本講読者より該書の価値と有益なることに付陳述せられし書簡」を編集したもの。和文44頁、英文12頁の和装本。当時大分配ったのか、「日本の古本屋」に…

心霊学を研究する柏木義円

「読めば読むほど味が出る『柏木義円日記』」で言及した明治40年の『心霊雑誌』、キリスト教関係の雑誌ではないかとの御教示をいただきました。原本はどこにもなさそうなので確認できないが、その可能性は高い。柏木義円は、明治35年5月から群馬県の安中教会…

酒井温理と太霊道の時代

酒井温理が片野真佐子編『柏木義円日記補遺』(行路社、2001年3月)にも出てきました。 (大正八年)一月二十六日(略)辞シテ青山行電車ニ乗リ酒井温理氏ニ至ル。上原欽二君ト語リテ夕刻ニ至レバ酒井氏御帰宅、夕食ヲ共ニシ御夫婦喜ンデ歓待セラル。大[ママ…

松本和男編『川端康成先生著書目録』(松本和男、昭和44年1月)

書砦梁山泊(りょうざんはく)にて500円。「まえがき」によれば、「限定五〇部をタイプ印行し、関係者に配布申上げましてご教示をお願いする次第」 とのこと。なるほど、50部で関係者に配布しただけでは、どこの図書館にもないわけだ。「日本の古本屋」でも…

国立国会図書館職員の追悼文集『おもいで』

昨年南部古書会館で拾う。67頁の小冊子で、1981年9月発行。副題に「×××さん追悼文集」とある。所蔵する図書館は皆無のようだ。亡くなったMさんは、略年譜によると、昭和36年文部省図書館職員養成所卒業後、国会図書館に入館、調査局商工課勤務、10年以上調…

『帝国大学新聞』補完計画

『UP』(東京大学出版会)四月号で清水あつし氏(公益財団法人東京大学新聞社役員)の連載「初期『帝大新聞』の研究ーー「創刊資金の謎」」第一回は、「『帝大新聞』創刊資金の謎を追って」。『帝国大学新聞』は、現在も発行されている『東京大学新聞』の前…

ツイン21で『板鼻郷土史料展覧会出品目録』(板鼻和光学園、昭和11年5月)

ツイン21で開催中の古本市で拾う。昭和11年5月3日に板鼻町聞名寺内の板鼻和光学園で開催された展覧会の目録。『柏木義円日記』で板鼻という地名をよく見かけていたので、「おっ!」と思い、購入。板鼻町は、現在の群馬県安中市板鼻に当たる。展覧会の出品は…

近藤元粋編『興文新誌』(鹿田静七、明治20年1月)で大失敗

これは、今開催中のツイン21の古本市ではなく、前回の古本市で。ビニール袋に入っていて中の確認ができなかったが、数百円で古そうな和装の雑誌なので購入。開けてみると、ガーン。漢詩文雑誌であった(´・c_・`)読めましぇーん。 本誌には号数の表示はないが…

さんちかホールで『児童読物之研究』(葺合教育会児童愛護研究会、大正12年3月)

先日さんちかホールの古本市で300円だったと思う。出遅れて行ったが、関西には図書館、書物関係を集めている人はいないのか、残っていた。東京だったらすぐ消えていただろう。国会図書館にはなく、日本大学が所蔵しているくらいか。 「緒言」によると、神戸…

酒井勝軍ならぬ、もう一人の酒井なる酒井温理

酒井温理という人物が酒井勝軍の周囲にいたことについては、「酒井勝軍の死とトンデモない人達」で言及したところである。これに補足すると、 ・三村三郎『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』(日猶関係研究会、昭和28年8月)に、戦前の学界における親ユダ…

偽作者にして奇人の西村兼文

「均一パトロールで林若樹『集古随筆』を」で言及した西村兼文について、徳富蘇峰も書いていた。並木浅峰・庄司浅水編『愛書五十年:蘇峰随筆』(ブックドム社、昭和8年4月)所収の「日本の贋作家」に、 其の内にても辣腕家と称す可きは、関西の西村某也。彼…

矢野峰人と西川誠光堂

吉岡書店で『洛味』82集(洛味社、昭和34年4月)を。これも均一台にあってもスルーしていた雑誌だが、目次を見ると面白そうなので購入。矢野峰人「詩集出版祝賀会」は、詩集の出版祝賀会は北原白秋の『思ひ出』に始まるとの事とし、続いて自身の詩集『黙祷』…

出版史料としての『柏木義円日記』

明治31年11月『上毛教界月報』を創刊し、しばしば発禁処分をくらった柏木義円。そのため飯沼二郎・片野真佐子編『柏木義円日記』(行路社、1998年3月)は、出版史研究にも参考になると思われるので、日記から幾つか拾ってみる。 まず、口絵に大正期に発出さ…

かわじもとたか編著『月の輪書林古書目録を一考す。』にオタどんと書物蔵さん

かわじさんの『月の輪書林古書目録を一考す。』(杉並けやき出版、2016年1月)にわしと畏友書物蔵さんが登場。「郊外エロ風景☆高円寺の巻他」掲載の『人の噂』3の2などを編集した細井肇について、 細井肇は知らない人。こうして知らない人を調べるのも面白い…