神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

さんちかホールで『児童読物之研究』(葺合教育会児童愛護研究会、大正12年3月)

先日さんちかホールの古本市で300円だったと思う。出遅れて行ったが、関西には図書館、書物関係を集めている人はいないのか、残っていた。東京だったらすぐ消えていただろう。国会図書館にはなく、日本大学が所蔵しているくらいか。
「緒言」によると、神戸市葺合区の児童が学校の教科書以外に「如何なる書物を如何なる程度まで読みつつあるか」の実状を大正11年6月5日より12年3月8日まで調査したものである。読み物調査委員長圓尾の委嘱を受けた委員が、各学校の尋常科第3学年以上の児童7528名、高等科の児童1385名に対し4月から6月までに読み終えたり、読みつつある書籍名を調査した。雑誌、単行本、豆本立川文庫流の定価30銭以上で小形のものは全てこの部に入る)の3分類の結果がまとめられている。そのうち、雑誌について紹介すると、葺合区の児童が読んだ雑誌は尋常科で83種、高等科で59種、延べ人員は20740人。上位の雑誌は、

尋常科
1譚海
2少女世界
3少年世界
4日本少年
5飛行少年
6世界少年
7少女
8小学女性
9少年
10小学世界
11-19(略)
高等科
1譚海
2少年倶楽部
3少女世界
4日本少年

『飛行少年』が健闘してるね。「猶本調査を仔細に点検すれば不健全なる内容を有する雑誌を発見するは最も注意を要する点なり」と面白いことが書いてある。雑誌名の一覧を見ると、『夜の神戸』があるが、これだろうか。
各雑誌について、男女別読者数が一覧表になっているので、少年向け雑誌を女子が、少女向け雑誌を男子が一定数読んでいたことがわかり興味深い。お姉さんやお兄ちゃんの雑誌を借りて読んだのだろうか。本書を使った論文とかあるのかな。
「葺合教育会」は、『神戸市教育史』第一集(神戸市教育史刊行委員会、昭和41年3月)によると、明治25年5月設立、当初は雲中小学校一校の後援機構だったが、しだいに葺合区内全学校の後援団体に転じていったことが推察できるという。大正15年度現在の会員数は1505人。
なお、本書の扉には「寄贈」のスタンプが押されていて、大正12年3月10日圓尾幸蔵より寄贈されたことがわかるが、旧蔵者は不明。本書を見つけた箱には、「図書館長」宛の神戸市作成の統計書も入っていた。ということは・・・。圓尾は『第十四版大衆人事録近畿中国四国九州篇』(帝国秘密探偵社、昭和18年9月)によると、兵庫県会議員で元村長。