神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

矢野峰人と西川誠光堂

吉岡書店で『洛味』82集(洛味社、昭和34年4月)を。これも均一台にあってもスルーしていた雑誌だが、目次を見ると面白そうなので購入。矢野峰人「詩集出版祝賀会」は、詩集の出版祝賀会は北原白秋の『思ひ出』に始まるとの事とし、続いて自身の詩集『黙祷』と園頼三・船川未乾の詩画集『自己陶酔』との合同出版祝賀会について触れる。

(略)当日の出席者に贈呈するために、私の詩集を必要部数集めたいが、どの店で取扱って居るかとの照会にも接した。私の詩集はもともと二百三、四十部の限定出版で、出版元から出る短歌雑誌に一ページ大の広告を数ヶ月出してくれただけのものだから、予約募集ならぬ予約出版同然で、方々の店に行き渡る筈も無い。京都では、昔からの縁故で、東丸太町通りに在った西川誠光堂が十部か十五部位、店に並べてくれたのではないかと思ふ。

西川誠光堂キター。三高や京大生の溜まり場となった西川ハルの西川誠光堂。松木貞夫『本屋一代記 京都西川誠光堂』(筑摩書房、1986年11月)に詳しい。京都の古本屋ではよく見かける本だが、ぜひとも文庫化してほしいものである。この西川誠光堂にあやかって昨年誠光社という書店がオープンしている。ハルおばさんの御加護か、誠光社はいつ行っても若い男女の客でにぎわっている。そういえば、「本は人生のおやつです!!」でもらった『皆さまの「昨年のベスト3冊」教えて頂きました!』に、『本屋一代記』をあげている女性がおられた。本好きの人は、目ざといなあ。
さて、この『洛味』だが、同時に拾った他の号には雨田光平「平凡寺さんを憶う」の連載とか、尾関岩二「京都の古本屋街ーー掘り出しものの話ーー」が載っている。今後とも要チェックぢゃ。検索すると、さすが林哲夫氏、園頼三の追悼記事が載った号を拾っていた。→「http://sumus.exblog.jp/13673714/