誰ぞの代わりに行った神戸サンボーホールで拾う。明治39年1月倫敦タイムス社東京支社が、「大英百科全書日本講読者より該書の価値と有益なることに付陳述せられし書簡」を編集したもの。和文44頁、英文12頁の和装本。当時大分配ったのか、「日本の古本屋」には結構あがっている。入手した本には、「現今は半価/二月二十八日以後は/現価の二倍」との赤いチラシが入っていた。書簡の発信者は、菊池大麓前文部大臣、森晋太郎時事新報記者、尾中郁太、桑木わく雄東京帝国大学理科大学講師、星野錫東京印刷会社長、有馬祐政早稲田大学講師文学士、廣瀬玄ちょう(金扁に長)福岡図書館主、新原俊秀横浜高等女学校長、佐伯理一郎同志社病院医士、明石厚明、山縣悌三郎、岩田宙造弁護士法学士など。
尾中は、自分が買ったブリタニカ百科全書は明治37年5月に戦没した実弟海軍大尉尾中諦治紀念のために設立した華南図書館(山口県佐波郡中之岡村)に寄贈したと書いている。
有馬は、郷里の福井市で将来私立図書館を設置したいのでブリタニカを買ったと書いている。
廣瀬が館主を務めた私立福岡図書館は、「九州大学附属図書館ホームページ」によると、廣瀬が分院長を務めた出雲大社教福岡分院の境内に設置された図書館。その蔵書の一部は現在は九州大学の廣瀬文庫になっているようだ。