神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

三菱自動車工業が作った岩波文庫へのオマージュ、三菱文庫『志望暦』

尚学堂の均一台を善行さんに代わってパトロール。林画伯や近所の某氏とか競合相手の多い場所だ。パラフィン紙がまかれた昔の岩波文庫がポンと置いてあった。全然拾うつもりがなかったが、「MMCリクルートルーム編」とあるのが目に入る。「岩波文庫にしては、変わった編者だなあ」とよく見ると、タイトルは『志望暦』。そして、タイトルの上に「三菱文庫」とあるではないか(◎-◎;)
「なんじゃこれは!」と奥付を見ると、発行所は三菱自動車工業株式会社、発行者は同社リクルート教育部で1985年11月第1刷・1986年2月第2刷。目次は、

就職活動の手引 上
昭和六十一年睦月(一月)
昭和六十一年如月(二月)
昭和六十一年弥生(三月)
昭和六十一年卯月(四月)
昭和六十一年皐月(五月)
昭和六十一年水無月(六月)
昭和六十一年文月(七月)
昭和六十一年葉月(八月)
昭和六十一年長月(九月)
昭和六十一年神無月(十月)
昭和六十一年霜月(十一月)
昭和六十一年師走(十二月)
昭和六十二年睦月(一月)
昭和六十二年如月(二月)
昭和六十二年弥生(三月)
就職活動の手引 下
耳の上にも三年(天野祐吉
年間暦(昭和六十一年一月〜六十二年三年)

岩波文庫の真似は装丁だけではなく、目次にはないが、奥付(223頁)の後に岩波茂雄の「読書子に寄す」ならぬ「就職子に寄すーー三菱文庫発刊に際してーー」があり、既刊目録の代わりに「三菱の先進車」が「シグマ」から「ふそうトラック」まで続く。ご丁寧に栞まで付いている徹底ぶりだ。帯には、「就職活動へのアドバイスに加え、暦、備忘録の機能を兼ね備えた本書は、やがて社会に飛び立とうとする人、必携の一冊といえる」とあるので、リクルートの一環として無料で学生に配ったのであろう。
これはいいブログのネタが出来たと拾う、50円也。拾おうと思って拾えるような本ではなく、わしが均一台で出会うことはもうないだろう。ちなみに、「日本の古本屋」では金沢文圃閣が2160円、それより上をもう一軒付けている。
発行された昭和61年はバブル景気が始まる年。『志望暦』は何年続いたのか、三菱文庫は他にも出たのか、三菱自動車に聞いてみたいところだが、今同社はそれどころではない状態のようだ。