神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

森茉莉の死にも泣かなかった栗本薫


栗本薫『光の公女』(グイン・サーガ27)の「あとがき」(1987年7月10日付け)によると、

ふいに思い出したのですが、私にとってこの世で最も懐しい作家の一人である森茉莉さんがついに亡くなりました。『枯葉の寝床』の単行本をさがして狂ったように神田を歩きまわった夏は、あれはもはや、二十年の昔です。(略)
ついに会わずじまいでした。これでよかった−−と思っています。私は森さんの死亡記事を読んで、一滴の涙も流さず、その死をいたみも、その本をよみかえしもしませんでした。読みかえすいわれはないのです。私は彼女の小説のほぼ全文をくりかえすことができるのですから。


わすは、涙を流し、読み返そう、栗本の本を。