2017-01-01から1年間の記事一覧
このところtwitterのツイートがなぜかできないので、近況報告をこちらで。 今日から開催のサンボーホールひょうご大古本市で拾えた本。 『あふひ』3-5号(葵文会、明治43年7-9月)・・・大槻如電・幸堂得知・饗庭篁村監修の雑誌。3冊で1000円。復刻版が出てる…
福田與『満点の星を仰ぎて』(福田図書室、昭和61年10月)に福田の長姉糸野の夫である秋田春蔵という人物が出てくる。朝鮮の京城で漁具製造販売の卸問屋を表看板でするほか、自動車の路線を購入して不便な奥地に車を走らせたり、禿げ山を購入して盛んに植樹な…
仙台静坐会の機関誌『坐忘』に投稿していたという長谷川光二については「『北方人』25号(北方文学研究会)をいただく」で言及して以来気になっていた。そこで伊藤重行『釧路湿原の聖人・長谷川光二ーー永遠なる人間の鏡ーー』(学文社、平成17年4月)を読んでみ…
京都市吉田本町にあった静坐社の機関誌『静坐』で、まさかこんなところで出会うとはと驚いた社名があった。昭和14年陸軍によって作られた国策会社昭和通商である。昭和通商については、「谷川徹三と昭和通商」などを参照されたい。さて、同誌15巻6号、昭和16…
藤澤清造『根津権現裏』(新潮文庫、平成23年7月)の西村賢太氏による解説に気になる箇所があった。『根津権現裏』は日本図書出版*1から大正11年4月に刊行されたが、無削除本と検閲により2頁分が削除され、その旨が印刷明記した紙片が貼られた削除本があるとい…
先々週東京古書会館で『静坐 自八巻七号至十七巻九号』と背表紙に書かれてバインダーで編綴された雑誌を発見。京都市吉田本町にあった静坐社が発行していた『静坐』の8巻7号(昭和9年7月)から17巻9号(昭和18年9月)までのうち不揃い14冊で1000円、「かんたんむ…
久しぶりに『南木芳太郎日記』を買ってきた。第3巻が平成26年8月に出ていたのであった。解題として、南木ドナルドヨシロウ「南木芳太郎の蔵書印」が付いている。読んでいると、「原始藝術品蒐集者にして幼年美術研究者だった宮武辰夫のもう一つの顔」で紹介…
浜田雄介編『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』(乱歩蔵びらき委員会、平成16年10月)を読んでたら、大正14年4月に乱歩、春日野緑、西田政治、横溝正史らにより創立された探偵趣味の会に、春陽堂の島源四郎の紹介で斎藤龍太郎ら3名が入会していたこ…
千代田図書館で開催中の企画展示「検閲官ーー戦前の出版検閲を担った人々の仕事と横顔」を観て、併せて講演も聴いてきました。講演は、村山龍氏(慶應義塾大学非常勤講師)による検閲官佐伯慎一(筆名・郁郎)に関するものと安野一之氏(NPO法人インテリジェンス…
『洛味』(洛味社)も総目次が待たれる雑誌だが、289集(昭和51年10月)に島岡剣石「武林無想庵と京都」を発見。島岡は詩人で、京見峠に歌碑がある。『京の文学碑めぐり』(京都新聞社、昭和56年12月)によると、島岡は明治40年天理市生まれ。姫路高、京大で文学に…
盛厚三氏より『北方人』26号(2017年2月)を御恵投いただきました。いつもありがとうございます。 目次は、 創作/「鏡」のおんつあま 通雅彦 創作/理想郷チルワツナイ(Ⅱ) 哀神シュナイダー 随想/色紙について 池内規行 評論/釧路湿原文学史(7) 盛厚三 書誌…
木本至*1『評伝宮武外骨』(社会思想社、昭和59年10月)によると、外骨は二階堂招久『初夜権ーーJUS PRIMAE NOCTISの社会学的攻究』(無名出版、大正15年4月)の版権を南海書院(代表近藤久男)に売ったが、同社の出資者である羽太鋭治の「精力増進回春秘薬キング…
京都古書会館で図書週報編輯部編『明治大正発売禁止書目』(古典社、昭和7年7月)を拾う。52頁、1000円。ただし、金沢文圃閣の『図書週報ーー昭和前期書物趣味ネットワーク誌ーー』第10巻中に復刻されている。この中の大正15年8月の欄に「8*1○三田村鳶魚 瓦版…
ツイン21の古本市で見つけた『民族と郷土』陽春号(民族と郷土社、昭和22年4月)。28頁、500円。民族と郷土社は、大阪府箕面牧落に所在。所蔵する図書館は皆無か。表紙は雪原にうづくまる裸の女性の写真。キャプションには「春の流水に祈るアラスカの娘」とあ…
加藤一雄『京都画壇周辺』には、千里眼事件の今村新吉博士らしき人が出てくる。 因に言えば京大医学部は今村真吉博士の影響によって微かながらフランス趣味が漂っていた。今村さんは精神科の講義の時に、よく言ってたそうである。「おれの講義なんか聴くより…
誰ぞの感化で最近は葉書にも手を出している。と言っても、絵柄よりも発信人や受信人が面白そうな絵葉書や官製葉書に関心がある。昨年入手したのは、京都市内に住んでいた平野久吉宛絵葉書を三枚。全然知らない人だが、一枚に「京都市立美術工芸学校平野先生…
『百年一趣』上・下(土俗趣味社、昭和21年)、五千円出した甲斐があったようだ。呉峯生「古本販売目録に就いて」というのが載っていた。所蔵の古書目録を分類していて、地域別古書店数調では355店、地域別冊数調では総数4104冊(3792冊+即売会案内等312冊)、…
大阪古書会館の古本市で『百人一趣』上・下(土俗趣味社、昭和21年)を発見。謄写版上巻98頁・下巻108頁、非売品100部限定の本で五千円もするが、柳田國男、斎藤昌三、尾崎久弥、九十九黄人、島田筑波、頴原退蔵、田中緑紅、東條操、中山太郎らそうそうたるメ…
ツイン21では21日(土)まで古本フェアを開催中。わしは、100円で珍しそうな上記の本が拾えました。発行所は大阪南区松屋町末吉橋北の法令館、編輯兼発行者は榎本松之助*1。コドモ文庫の一冊で、裏表紙の一覧には23冊の書名があがっていて、探険手帖、怪飛行機…
斎藤昌三と三田村鳶魚がどれくらい親しかったかは不明だが、三田村の日記*1には数回出てくる。たとえば、 (大正十二年) 二月九日(金) 崇文堂、斎藤某氏と挈へ来る。(略) 六月八日(金) 崇文堂、八重を一九会へ。◯斎藤昌三氏。 (大正十三年) 一月二十九日(火) …
『三田村鳶魚全集』25巻-27巻(中央公論社)は日記だが、別巻の索引の対象外とされている。索引があれば、あんな人やこんな人が出てくるのかと色々発見できそうなので、残念である。 私は何度も読んでいるのだが、今回青柳秀夫が登場するのを発見。青柳秀夫(…
鏡花本の装幀で知られる鰭崎英朋が三田村鳶魚の日記*1に出てくる。 (大正六年) 八月二十四日(金) 鰭崎英朋氏来る、同伴伊丹鉄弥氏に至る。(略) 九月二十日(木) 出社、鰭崎英朋氏来ル。(略) (大正七年) 四月十六日(火) お客、樋口二葉氏、山中共古翁、鰭崎英…
戦時中の企業整備による統合後の大雅堂(教育図書が母体)の代表者となった田村敬男だが、戦後公職追放となる。これについて、田村は『荊冠80年』(あすなろ、昭和62年7月)136頁に次のように書いている。 (略)わが大雅堂が、G・H・Qから公職機関に指定され、…
「「『二級河川』16号の「戦時の企業整備により誕生した出版社一覧(附・被統合出版社名索引)が超便利」」で言及した一条書房(代表者河原四郎。河原書店、臼井書房、スズカケ出版部などが統合)だが、昭和18年1月の企業整備により設立されたという。出版事業の…
12月18日大阪古書会館で開催された井田太郎近畿大学准教授の講演会「コレクターと収集品ーー紀文書簡から稀書複製会叢書までーー」を聴いてきました。江戸会、同方会、集古会から稀書複製会に至るコレクター群像の流れ、ネットワークの広がりは山口昌男『内…