神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

フランス文学志向だった今村新吉博士

加藤一雄『京都画壇周辺』には、千里眼事件の今村新吉博士らしき人が出てくる。

因に言えば京大医学部は今村真吉博士の影響によって微かながらフランス趣味が漂っていた。今村さんは精神科の講義の時に、よく言ってたそうである。「おれの講義なんか聴くよりも、ゾラの小説を読みたまえ」と。後年私は寺町通りの古本屋でゴンクールの「十八世紀の婦人群像」を買い、この本に今村真吉文庫の印が捺してあるのを見て、感激した憶えがある。

「今村真吉」は今村新吉ではないか。今村はドイツやオーストリアに留学しているが、ドイツ文学ではなくフランス文学が好きだったようだ。戦後サルトル全集が大当たりする人文書院の名付け親でもあった今村だが、同社二代目の渡邊睦久に影響を与えたというようなことはあるのかな。