神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

日本空飛ぶ円盤研究会の『宇宙機』や静坐社の『静坐』を持っていた長谷川光二の畏るべきコレクション

仙台静坐会の機関誌『坐忘』に投稿していたという長谷川光二については「『北方人』25号(北方文学研究会)をいただく」で言及して以来気になっていた。そこで伊藤重行『釧路湿原の聖人・長谷川光二ーー永遠なる人間の鏡ーー』(学文社、平成17年4月)を読んでみた。そうすると、驚愕の事実が判明した。まずは、長谷川の蔵書にふれた次の一節。

雑誌は非常に多いと言って良い。特に東京・国立国会図書館にもない「静坐」、「いのち」、「師と友」、「師友」などは貴重である。(略)特記すべきものとして「心霊研究」「心霊と人生」「宇宙機」(空飛ぶ円盤研究会)、「宇宙人」などがあることだ。長谷川光二館長は、そのような分野にまで関心があったと言えよう。

長谷川が館長だった私設の光二村図書館の蔵書は5600冊を超え、その内5200冊が日本語文献だという。その中には日本空飛ぶ円盤研究会の機関誌『宇宙機』もあったことになる。復刻版の同誌創刊号(昭和31年7月)は持っているので会員名簿を見ると、佐々木桔梗都崎友雄の名はあるが、長谷川は無かった。長谷川は、『宇宙人』(宇宙クラブ)も持っていたようだ。
心霊雑誌や空飛ぶ円盤関係の雑誌を持っているだけで驚くが、もっと重要な雑誌があるようだ。静坐社の機関誌『静坐』を持っていることは予想はできたが、「昭和二年から十九年まで購読」とか、「同冊子は、昭和十九年六月五日第二〇六号をもって戦争で物資不足となり終刊」、「昭和四十三年ころには季刊二十五号となっている」との伊藤氏の記述があり、相当長期間に渡るバックナンバーがあったようだ。年譜によれば、長谷川は大正6年東京高等商業学校(のち東京商科大学、現一橋大学)に入学し、大正7年ころ岡田虎二郎を師とし静坐会に通ったという。日文研に寄贈された静坐社のコレクションについては栗田英彦「国際日本文化研究センター所蔵静坐社資料:解説と目録」に詳しいが、長谷川のコレクションも注目すべきものがありそうだ。伊藤氏によると、長谷川の逝去(昭和50年)により同図書館は閉鎖中だという。今現在の状況は不明だが、もしコレクションが残っているとすれば、非常に貴重な雑誌がまだまだ埋もれているに違いない。
なお、伊藤重行・大木文雄・盛厚三釧路湿原の長谷川光二ーー日本のソローーー』(志學社、平成24年7月)という本が出ているが未見である。盛さん、長谷川の蔵書は今どうなっているのでしょうか。

釧路湿原の聖人・長谷川光二―永遠なる人間の鏡

釧路湿原の聖人・長谷川光二―永遠なる人間の鏡

釧路湿原の長谷川光二―日本のソロー

釧路湿原の長谷川光二―日本のソロー