神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

やはり実在した村岡伊平治

アジア各地で出会った「からゆきさん」(日本人の女郎)を「救出」しては、自分の「妻」にしたり、転売しちゃった村岡伊平治。現在ならヤクザの極悪非道人というところだが、戦前の人物ということもあってか、あまり憎めない怪人となっている。この村岡の年…

廣田弘毅の私設顧問だった増田正雄

昭和9年当時宇都宮の第十四師団長だった畑俊六の日誌(『続・現代史資料(4)』)に増田正雄が出てきた。 昭和9年1月5日 増田正雄氏来訪、語る処に依れば、 i)、広田外相は対蘇とは戦争となるが如きことなく平和的に折衝すべき自信を有し、又北鉄交渉は成立…

『大阪人』に北村知之氏を見る

『大阪人』8月号の「『大阪人』販売中」に海文堂書店*1雑誌担当の北村知之氏が出てた。 *1:6月1日で創業95周年を迎えるとのこと。

歴史のカゲに大本教あり

『現代プレミア』の佐野眞一・佐藤優・加藤陽子の鼎談で、加藤さんが現代の優れた女性ノンフィクションライターとして、内澤旬子・星野博美・梯久美子各氏とともに名前を挙げた黒岩比佐子女史。今週の女史の書評は、ナンシー・K・ストーカー『出口王仁三郎 …

東條書店とバラック装飾社

関東大震災後、今和次郎、吉田謙吉らによって創設されたバラック装飾社。最初の仕事は日比谷公園の開進食堂だったが、二番目は神保町の東條書店だったらしい。飯野正仁「疾走する眼玉 吉田謙吉試論」の「第1章俄然!震災が襲った。−考現学の芽生えとバラッ…

岡田播陽の生年

岡田播陽については、林哲夫氏教示の岡田誠三『自分人間』に詳しい。「播陽が二十八歳の明治三十四年(一九〇一年)に播磨屋を開店」とあり、明治6年生まれらしい。しかし、若干の疑問が生じてきた。貴司山治の日記*1によると、 昭和13年2月8日 夕方吉安君と…

もう一度読みたい昭和のマンガ(オタどん版)

朝日のマネをしてわしも色々選んでみた。こういうのはリストを見た方がよさそうだが、見ずに思いついたものを順不同で挙げてみる。 あしたのジョー(ちばてつや) 風の谷のナウシカ(宮崎駿) 日出処の天子(山岸凉子) ポーの一族(萩尾望都) ねじ式(つげ…

老壮会と藤澤親雄

大正7年10月9日に第1回会合が開催された老壮会。この老壮会第26回の会合(大正8年10月15日猶存社)で藤澤親雄がエスペラントの由来、組織、使命について講演を行っている。 出席者は、下中彌三郎、佐藤鋼次郎、上泉徳彌、中山波上、クヅネコフ、石田友治、…

ワキヤ書房の脇清吉

『古本年鑑』には載っていないが、松ヶ崎の京都高等工藝学校(現在の京都工芸繊維大学)前にワキヤ書房という古本屋があった。店主は脇清吉といって、武林無想庵について回想文*1を書いている。 京都の松ケ崎に京都工芸学校があって、校門前で、なまえばかり…

古書の森を遊泳する女性飛行士

人類が初めて月面に着陸して四十年。当時、推理小説やSF小説が好きで、宇宙飛行士になりたいと思っていたちょっと変った小学生の女の子がいた。その子は、やがて本の世界から離れ、テニスコートの世界に夢中になり、お蝶夫人のように華麗に舞っていた。そ…

狩野文京堂の狩野兵太郎

金沢文圃閣の『出版・書籍商人物情報大観−昭和初期』で復刻された「人と事業」『日本出版大観』(出版タイムス社、1930年)に、狩野文京堂のおじさんが出てきた。 文京堂 狩野兵太郎氏 明治二十三年一月生/上京区丸太町河原町東 君は京都府綴喜郡の産、明治…

貫名駿一と野口復堂(貫名善四郎)

ヨコジュンさんが、ヴェルヌの翻訳ではないとし、もしオリジナルとすれば実質上の日本最初の科学小説(SF)とする*1『星世界旅行 : 千万無量 一名・世界蔵. 第1編』(私家版、明治15年6月)。著者が貫名駿一といい、発行地は京都。ヨコジュンさんは、「こ…

報知新聞社員にして時代小説家だった片岡貢

片岡貢の経歴が判明した。『大衆文学大系29』(講談社、昭和48年9月)所収の時代小説「小栗主従」(初出は『新青年』昭和16年10月号)の著者片岡貢の略歴として、 片岡貢 明治三十六年(一九〇三)十二月一日、静岡市に生まれた。早稲田実業卒。昭和初年に報…

太陽通信社について少しわかった。

『新聞総覧大正六年版』(大正6年8月)の「各通信社概要」によると、 太陽通信社 沿革:大正五年の創立にして升巴陸龍氏の独立経営にして別に月刊雑誌『黒潮』を発刊しつつあり。 所在地:麹町区内幸町一ノ五 創立:大正五年十一月三日 組織:個人経営 政派…

幻の探偵小説図書館

『延原謙探偵小説選』(論創社、2007年12月)所収の「探偵小説図書館設立私案」*1を要約すると、 設立場所:地代五十銭を予定するため、一例として牛込矢来町程度の場所。借地九十坪。 建物:鉄筋コンクリート三階建、百八十坪。 一階:定員二百名の宴会場。…

報知新聞南方調査会

片岡貢の南方調査会について、正体が判明した。『全国国家主義団体一覧 昭和16年10月現在』の「興亜団体」の部に「報知新聞南方調査会」の記載がある*1。 報知新聞南方調査会 麹町区有楽町 報知内綱領目的 本会は亜細亜大陸の南部、太平洲・太平洋南方の諸嶋…

今橋理子さん

今橋理子『江戸の花鳥画』(スカイドア、1995年4月)は荒俣宏氏の博物画本に凝っていた頃、読んだ。同書によると、 さらに本研究の中核をなす、<江戸の博物学>という重要な鍵は、比較文化文学の芳賀徹先生の著作から多大な影響を受けたことは言うまでもな…

宮武外骨の妻を寝取った松井史亨

先日のNHKで「東京帝国大学」の背嚢をしょって資料収集する宮武外骨が印象的であった。 さて、吉野作造の日記によると、 昭和3年11月19日 朝学校に行く 其前に外骨翁を訪ねる 同翁の妻君自殺したと云ふ通知に接したるを以て也 翁の言ふ所に依るに翁の下に…

黒古一夫対豊粼由美の書評論争

『本が好き!』に「ガター&スタンプ屋ですが、なにか? わたしの書評術」を連載中の豊粼由美さん。7月号では、4月26日の新聞各紙の書評を特A〜Dにランク付けして物議をかもした。8月号では、黒古一夫氏が6月14日の北海道新聞に書いた『1Q84』の書評に…

大日本回教協会の評議員

昭和13年9月設立された大日本回教協会。その評議員222名の名前が、松島肇『大日本回教協会の使命に就て』(大日本回教協会、昭和14年1月)に載っている。その一部を抜書きしてみると、 井上清純、今泉定助、池田弘、入江種矩、林銑十郎、頭山満、大川周明、…

中田邦造と自由大学

大正10年11月開講された自由大学で中田邦造が講師をしている。山口和宏『土田杏村の近代』(ぺりかん社、2004年3月)巻末所載の「資料自由大学講座一覧」から中田が講師を務めた分を拾うと、 1.信濃(上田)自由大学 開講年月日 日数 講座 会場 1923.11.5 6…

埼玉県の進学校

佐藤優氏が『星星峡』(幻冬舎)で連載しているノンフィクション「十五の夏第二部」。7月号から引用すると、 「そうじゃないよ。埼玉大学附属中学校はできのいい子供たちが集まっている。ほんとうに頭のいい奴は、浦高なんかにこない。学芸大附属高校や教育…

第一書房の長谷川巳之吉と波多野春房をつなぐ太陽通信社

久保田文次論文によると、 一九一五年四月七日、波多野は孫文を訪問したが、警察報告は「太陽通信社長波多野春房」と報じている。イギリス駐日大使館のノーマンNormanは日本外務省の松井慶四郎次官に「サン・デーリー・ニュース社Sun Daily Newsの社長」…

石川県立図書館主席司書牧太喜松

昭和6年4月結成された新興仏教青年同盟については稲垣真美『仏陀を背負いて街頭へ−妹尾義郎と新興仏教青年同盟−』(岩波新書、1974年4月)に詳しい。同書94頁によると、 金沢の支部長山本清嗣(一九〇〇−)は、地元紙『北国新聞』の記者で、政治部長のポスト…

2009年10大ニュース(候補)

以前(1月2日)、今年の5大ニュースを次のように予想した。 ・猫猫先生親猫となる・佐藤優最高裁でも負け失職・「世界ふしぎ発見!」で『食道楽』がテーマとなりブームに・神保町に通り魔出現・書物蔵氏、「古本道」と「おにゃのこ」との二者択一を迫られる …

志賀直哉が見たシャルロット・ペリアン女史

シャルロット・ペリアン女史により自伝が刊行されていることは、太田泰人「ル・コルビジュジエ、ペリアン、坂倉準三」(『ル・コルビジュジエと日本』鹿島出版会、1999年3月)で言及されており、邦訳が期待されていたところである。この自伝が今般みすず書房…

大伴昌司とムー大陸

大伴昌司について知らない人には、まずはウィキペディアの「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BC%B4%E6%98%8C%E5%8F%B8」を読んでもらおう。まあ、要するにオタクの元祖みたいな人である。さて、戦前大東亜戦争の正当化にも利用されたチャーチワー…

コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―

東京藝術大学大学美術館では、今日から「コレクションの誕生、成長、変容―藝大美術館所蔵品選―」展が開催。大学の前身、東京美術学校の正木直彦校長時代のコレクションも展示されるらしい。正木の日記『十三松堂日記』を見てみると、 明治45年2月24日 (前略…

ジョルジュ・ビゴー展

2002年に川崎市市民ミュージアムで開催されたビゴー展は見ごたえがあった覚えがあるが、東京都写真美術館で11日から開催される「ジョルジュ・ビゴー展」は、「初めて、ビゴーの全生涯を明らかにする展覧会」*1というから相当本格的なものになるらしい。ビゴ…

するが書房が閉店するらし。

「naftan」さんの情報によると、静岡市の「するが書房」が、閉店するらしい。全品半額セールを実施中で、『満州評論』とか村上美代治『歴史の中の満鉄図書館 : 図書館活動の構図と原動力』も出てるらし。これで、正月から開いている店が減ってしまう・・・ …