神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

歴史のカゲに大本教あり


『現代プレミア』の佐野眞一佐藤優加藤陽子の鼎談で、加藤さんが現代の優れた女性ノンフィクションライターとして、内澤旬子星野博美梯久美子各氏とともに名前を挙げた黒岩比佐子女史。今週の女史の書評は、ナンシー・K・ストーカー『出口王仁三郎 帝国の時代のカリスマ』(原書房)。自分が知っているので誰でも知っているような気がしていたが、女史も言うとおり、王仁三郎ももはやほとんど忘れられてしまった人かもしれない。この本は、店頭で見かけてはいたのだが、どうもこういう翻訳物は、史料をちゃんと読み込んでいるのかと疑ってしまい、手を出さないことにしているが、どうやらこの本は信頼してよさそうである。ざっと見てみたが、ma-tango氏クラスには物足りない内容かもしれないが、一般書としても読みやすく、学術書としても充実した内容ではないのだろうか。中村古峡が警察の手先とあるのは、どうかとは思ったけれども。


戦前のトンデモない人達はたいてい、大本教か天津教かのどちらかに、いや、しばしば両者につらなっている。原武史松本清張の「遺言」』でも、清張が両者に強い関心を示していたことが記されていた。改めて大本教の果たした役割について考えてみるのに、このストーカー女史の本は有益であろう。ところで、ストーカー女史は『霊界物語』にブラヴァツキーが出てくることは知っているだろうか。
出口王仁三郎 ~帝国の時代のカリスマ

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瀧羽麻子左京区七夕通東入ル』(小学館)。京大出身作家による京大生物語(で、いいのかしら?)。
左京区七夕通東入ル