昭和6年4月結成された新興仏教青年同盟については稲垣真美『仏陀を背負いて街頭へ−妹尾義郎と新興仏教青年同盟−』(岩波新書、1974年4月)に詳しい。同書94頁によると、
金沢の支部長山本清嗣(一九〇〇−)は、地元紙『北国新聞』の記者で、政治部長のポストにいた。(略)さらに山本は、社会部の若手記者の遠藤清、県立図書館主席司書牧太喜松(略)らを幹部に支部の組織づくりをすすめ、後述するような農村の日常生活改善、文化運動、思想的啓蒙運動など、新興仏青の地方活動のなかでもユニークな業績をのこした。
妹尾をはじめ、ここに名前のあがっているメンバーは、後に治安維持法違反で検挙、起訴されることとなる。司書の職はどうなったであろうか。ところで、同書には石川県立図書館長も出てくる。
・金沢支部の農村の青年黒田義男が昭和11年1月仏式の結婚式を挙げた時、「新興仏青シンパの県立図書館長夫妻が媒酌人」となった(119頁)
・昭和9年2月、片山津温泉説教場で開かれた農民学校で、妹尾の農村と宗教の話があったほか、「県立図書館長による農村文化」等の話もあった(121頁)