神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2011-01-01から1年間の記事一覧

第6回ちよだ文学賞大賞を受賞した国会図書館関西館職員鈴木智之

読売新聞によると、第6回ちよだ文学賞大賞を受賞したのは鈴木智之氏(44)の「オッフェルトリウム」。 鈴木氏の経歴は、 鈴木智之 1967年 東京都生 神奈川県立横須賀高校卒(高校の頃から作家志望で、授業をサボっては図書室で好きな作家の小説を読みあさっ…

草野心平の前橋時代と煥乎堂の高橋元吉

草野心平「つながる僅かの人たち」*1によると、草野は高橋元吉を三度訪問している。 昭和三年といえば私も前橋にいた。また神明町の家と倉庫の事務室と南曲輪町の家も私は知っている。夫々一回ずつ、つまり三回、私も高橋元吉を訪問している。その頃足掛二年…

「ぐろりあ・そさえて」の若林つや

堀江朋子『白き薔薇よ 若林つやの生涯』によると、プロレタリア作家若林つやは、昭和14年6月「ぐろりあ・そさえて」に入社したという。その若林が、木山捷平の日記に出てくる。 昭和15年3月11日 「ぐろりあ・そさえて」行。山田君は父君の病気で帰省中。若林…

オタどんも、ビックリ

「くうざん、本を見る」の「赤堀又次郎」に、ビックラ。 誰ぞは、知っておったらしい。 - 10月9日の猫猫先生のつぶやき「オタどんはうちに盗聴器をとりつけている」。意味がわからん。

ダガバジジンギヂと高橋元吉

萩原朔太郎と萩原恭次郎は紛らわしいが、高橋新吉と高橋元吉も紛らわしい。 新吉の『ダガバジジンギヂ物語』によると、この二人は会ったことがある。 萩原恭次郎は、その頃石倉にいた。豊田(勇)が恭次郎を知らぬので、逢いたいというので、恭次郎を訪ねた…

煥乎堂の高橋元吉

草野心平の日記に、昭和40年1月28日に亡くなった詩人で群馬県の書店煥乎堂の社長・会長を務めた高橋元吉に関する記載がある。 昭和40年3月16日 午前中に高橋元吉追悼の「つながる僅かの人たち」8枚を書く。(本の手帖。) 6月25日 駅に石川、古渓両氏迎えて…

井上円了の妖怪研究会(その2)

三浦節夫*1「解説 井上円了と妖怪学の誕生」『井上円了・妖怪学全集』第6巻によると、 『妖怪学叢書』を世に問うたのは、明治二六年一一月のことである。また、この一一月には、妖怪研究会も設置している(明治二六年一一月一七日の『天則』や同一一月三日の…

『歴程』詩人としてのSF作家今日泊亜蘭

『SFマガジン』11月号が「日本SF第一世代回顧」特集で、なつかしい今日泊亜蘭の名前も出ていたので、今日泊の話題をしよう。 水島爾保布の長男である今日泊亜蘭(本名水島行衛、幼名太郎)については、峯島正行『評伝・SFの先駆者今日泊亜蘭』に、先駆…

黒岩さんと唐沢隆三氏

『日本古書通信』7月号の大和田茂「追悼唐沢隆三氏 個人誌『柳』八六三号でついに終刊」にも黒岩さんの名が出ていた。57年間、月刊個人誌『柳』を発行していた唐沢隆三氏が5月6日93歳で亡くなったが、入院前には、親しく文通していた黒岩さんの『パンとペン…

木山捷平と原田康子

木山捷平の日記(『木山捷平全集』第七巻)に原田康子が出てきた。 昭和42年5月6日 北海道旅行第三日目。登別より洞爺湖高原ホテル泊。(略)原田康子との対話が出来なくなって更科源蔵と対談した。 10月13日 北海道旅行第九日目。(略)十二時前、札幌ビヤ…

黒岩さんと茅原健氏

『日本古書通信』9月号の茅原健「書架拾遺」75は「茅原崋山『銀杏の葉陰』」。この本は、黒岩比佐子さんのブログ「古書の森日記」2007年05月26日でも紹介されているが、茅原氏は、黒岩さんとは一度メールの交換をしたことがあるという。黒岩さんの『編集者国…

日比谷図書館員中條辰夫を取り巻く文学青年・女流作家・画家たち

金子光晴『詩人』(平凡社、昭和48年12月。初出は『ユリイカ』昭和31年10月号〜32年6月号)の「「明治」という荒地の中で」によると、 肺尖カタルという病名で僕は、三ヶ月寝た。その頃僕は、保泉良弼、良親の兄弟と交際するようになった。保泉を僕に紹介し…

井上円了の妖怪研究会

先日の「歴史秘話ヒストリア」で井上円了をやっていたので、昔のブログから引用だす。 2005年12月6日 さて、以前(11月7日)紹介した中野区立歴史民俗資料館の「井上円了の民具コレクション展」(11月27日で終了)は、無料で、展示スペースも小さかったが、…

竹貫少年図書館を開館した竹貫佳水と日比谷図書館児童室(補足)

『日本児童文学大事典』は調べて竹貫佳水は立項されていないと思っていたが、どうも調べていなかったようで、「竹貫佳水(たかぬきかすい)」がしっかり立項されていた。引用できないほどの分量がある。参考文献として、芦村居主人「故竹貫佳水氏の事業」、…

オタどん編著『簡約大日本図書館先賢事典 未定稿』

『文献継承』15号(金沢文圃閣、2009年10月)の「長土塀の机上より」によると、石井敦編著『簡約日本図書館先賢事典』を発展させた『日本図書館関係人物事典(仮称)』という企画が、石井の生前にあったらしい。実作業はまだまだこれからで、どのように石井…

マルクス書房の終焉

『短歌前衛』(プロレタリア歌人同盟の機関誌、昭和4年9月創刊)の発行を昭和5年3月号から引き受けた難波孝夫(難波英夫の弟)のマルクス書房*1だが、相次ぐ発禁処分で経営は危機に陥ったようである。発禁年表によると、単行本の発禁は同年3月に1冊、4月に1…

竹貫少年図書館を開館した竹貫佳水と日比谷図書館児童室

森銑三『明治東京逸聞史』を見てたら、日比谷図書館児童室が出てきた。 日比谷図書館の児童室(同上[『文藝倶楽部』明治]四十二・七) 思案の「本町誌」に、六月一日、帰社の途次、竹貫佳水君の案内で、日比谷図書館を見た。建築が奇麗で、小ぢんまりしてゐ…

手に負えない男だった紅玉堂書店の前田隆一

金子光晴『どくろ杯』に紅玉堂書店の前田隆一に関する記述があった。 松村(英一)さんは、別に、神田の紅玉堂という出版屋を世話してくれた。主人は、前歯が出て、凶悪犯人の顔写真のような顔をしていたが、果せるかな、吝嗇で、狡猾で、手に負えない男だっ…

毎日新聞の長山靖生選「この人・この3冊」に黒岩比佐子さん

本日の毎日新聞書評欄「この人・この3冊」は、長山靖生選による黒岩比佐子さんの本3冊。・『「食道楽」の人 村井弦斎』(岩波書店) ・『編集者国木田独歩の時代』(角川選書) ・『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社)冒頭を引…

萩原朔太郎の告別式に出席した詩人・作家

萩原朔太郎が今年生誕125年ということで、世田谷文学館で「萩原朔太郎展」が10月8日〜12月4日開催される(yukunokiさん情報によると、2012年1月21日〜2012年3月18日いわき市立草野心平記念文学館に巡回するようだ)。 朔太郎は、昭和17年5月11日に亡くなって…

トンデモだった戦争文化研究所と『戦争文化』

昭和14年3月『戦争文化』が創刊された。編輯兼発行人は麹町区有楽町一ノ四 戦争文化研究所 今藤茂樹。発行所は戦争文化研究所、発売は京橋区銀座西五ノ五菊地ビル内 世界創造社。創刊号の目次は、 グラビア特輯 撮影 深尾重光 日本を繞る世界戦争問題 戦争文…

世界的大旅行家としての野波静雄

野波静雄については、「野波静雄と下中弥三郎」(2月3日)、「満川亀太郎の興亜学塾の講師」(2月9日)で言及したところである。満川亀太郎「世界的大旅行家・野波静雄氏」『人の噂』昭和6年1月号には、次のようにあった。 阿片問題の研究者として、又自由港…

林倭衛の長女林聖子さんのバー風紋

9月28日付朝日新聞(東京版)夕刊に、太宰治の「メリイクリスマス」の「シヅエ子」のモデルになった林聖子さんが営む新宿の文壇バー「風紋」が、今年50周年を迎え、同月30日祝う会を開催するという記事があった。壇一雄や筑摩書房社長の古田晁らがひいきにし…

栗本薫とマンガ同人誌

「対談1970年の同人誌を2011年に読む 20世紀エディトリアル・オデッセイ第2回」『アイデア』9月号によると、 A(赤田祐一) (本を取り出して)これは栗本薫(中島梓)の『ぼくらの気持』という小説です。少女マンガの世界を舞台にしたミステリなんですけど…

福島県平が生んだ詩人たち

木山捷平「何でもない詩論」『詩人時代』昭和6年5月号(創刊号)によると、 福島県の平という町はどの位の大きさの町なのであらうか。又どんな町なのであらうか。 地理の学者にも、天文の学者にも、法律の学者にも、社会科学の学者にも、知られてはゐないで…

プロレタリア出版社自然社の梅津英吉

前田河広一郎の『三等船客』を大正11年10月に刊行した自然社の創業者梅津英吉の孫という方から、「自然社と三浦関造」(2008年9月20日)にコメントをいただいたことがあった。その後、小川未明の紹介で大正12年2月から8月まで同社で勤務したという壺井繁治が…

津田光造の没年が不明だ

辻潤の妹恒の夫だった津田光造については、「大川周明と楢崎皐月」(2008年4月20日)で言及した。この津田は、『日本アナキズム運動人名事典』によると、 津田光造 つだ・こうぞう 1889(明22)12.2−? 神奈川県足柄上郡南足柄村(現・南足柄市)生まれ。早…

はてな三大書物ブログ

オタオタしてても、我がブログのページビュー数が順調に176万件を超えた。 はてなの書物ブログで、ページビュー数が多いのは、本日現在で、 ・「okatakeの日記」(2005年4月2日〜)2275125件 ・「ナンダロウアヤシゲな日々」(2004年6月26日〜)1925952件 ・…

中條辰夫と中村屋サロン

金子光晴の友人だった日比谷図書館児童部の中條辰夫。元図書館員の書物蔵氏をもってしてもその経歴調査に難航しているようだ。私が調べて判明していることを補足しておく。金子の年譜によると、大正4年頃、金子は中條と新宿中村屋の二階にエロシェンコを訪ね…

中條辰夫という日比谷図書館児童部職員

おはよう、書物蔵君。 今回の君の使命は、日比谷図書館員だった中條辰夫という人物の経歴を明らかにすることである。中條は、金子光晴の「時間をかけて、わがままに」『文学的断層』に名前が出てくる。 日比谷には、僕の友人の中条辰夫がつとめていて、館長…