神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

竹内文献と皇道図書館

さて、だれぞは飲みにも行かず(笑)、古本市にも行かず(笑)、皇道図書館の調査研究を着々と行っているであろう。あまり、人の 縄張りに口を出してはいかんのだが、だれぞとは違った切り口から迫ってみよう。それに、わすもいつポックリと逝ってしまうかも…

 『気まぐれ散歩道』(星新一著)から

頭山さんは、長生きし、太平洋戦争の末期に死す。空襲を避け、箱根の私の亡父の別荘にいたのだが、広田弘毅さんが泊りにくることになった。近くの強羅ホテルにいる、ソ連のマリク駐日大使と、終戦仲介の話し合いのためである。同居では誤解されると、頭山さ…

『石井研堂』(山下恒夫著。リブロポート シリーズ民間日本学者)

[昭和18年]11月下旬、研堂は二階の寝室で転倒、はずみで背中を強く打った。痛みが去らないので、近所の名倉病院に赴くと背骨の骨折とわかり、そのまま入院することになった。戦時下の物資不足で、ギブスに使う言葉が病院にはなく、寿郎氏[研堂の長男]が…

『上海自然科学研究所』(佐伯修著)から

いまひとつ、岡田は学生時代、人類学者の鳥居龍蔵の家に よく出入りしていた。鳥居は、モンゴル、満州などの辺境を 妻や幼い子供を連れて探検している。鳥居夫人は逞しい女性 だったようで、小柄な岡田は、鳥居家に泊めてもらった翌朝、 朝寝をしていて、鳥…

『弘文荘訪問記』の続き

ようやくだれぞの読んだあたりまで追いつく。 あまり追い越してはいかんので一休み。 山田朝一、三橋猛雄、村口四郎、品川力、中山信行は 知っているが、石尾光之祐、八鍬光晴、小林晴生、 斎藤孝生(後から「玉英堂」と出てきた)って、誰だっけ? 一誠堂の…

『頭山満翁写真伝』(藤本尚則編)から

朝倉文夫氏の美術界に於ける存在は力強き一種特異の光彩を 放つもので、其人と為り立派な親分肌で『美術界の頭山』と の世評さへ耳にする事がある。さらにいへば朝倉氏の顔の大 きな方形の輪廓を始めあの秀れた逞しい鼻の恰好や、眼鏡の 底から閃めく強く而…

『名古屋をつくった建築家・鈴木禎次』(瀬口哲夫著)から

矢田績(引用者注:三井銀行名古屋支店長)は鈴木禎次を非常に 信頼していたと思われる。矢田は、1921(大正10)年に経 済界の第一線から退くが、翌年永住の地として名古屋に移住して くる。そして、名古屋のために何が必要かと考え、私財を投げう っ…

 あまり深入りするのはちとヤバそうな雰囲気もあり!?

さて書物奉行さんが、皇道図書館の詳しい関係者のリストを追加 してくれたので、色々調べてみる。 玄洋社や黒龍会の関係者は、一見いなそうに見えた。 ところが、『頭山満翁写真伝』(藤本尚則編)を見ると、皇道 図書館の名誉顧問たる今泉について、 神宮奉…

『古書に見る温泉−私の温泉史ノート抄−』(野口冬人著)から

最近では暇がないので、あまり歩きまわらなくなったが、 そのかわり高田馬場駅前ビッグボックスで毎月始めの一 週間ほど古書市が開かれる。ときどき行ってみるが、め ったに掘り出しものはない。ほとんど駄本ばかりである が、ときに思いがけない本がポンと…

『明治人物誌』(星新一著)から

午後、二時三十分、熱海の寺沢別荘に杉山先生を訪問。(中略) 日米戦争説は英国の主張ならん。アジア救助。アジアの教興は ユダヤ人の利用にありと。英国の東洋における情熱。英米も救う ことができる。英米日、三国の協力・・・。広田君に手紙。話し 夕食…

『『変態心理』と中村古峡』(小田晋ほか編)から

夢野久作は、長編推理小説の傑作『ドグラ・マグラ』(1930 年)で「狂人の解放治療」の理想を抱く精神医学者に焦点を当てて いる。筆者が故王丸教授から直接聴取したところによると、夢野久作 は、その精神医学的知識を父親の杉山茂丸と黒竜会の同志であ…

『本棚探偵の回想』(喜国雅彦著)から

あったのは、本来本屋があるべきだろう場所にでんと 立っているブックオフのみ。大嫌いな店だ。出版不況 の原因の一つと言われているが、そのせいだからでは ない。僕の欲しい本が一冊もないから、でもない。看板 に「本」と書いてあるからだ。「古本」とは…

新潮新書『図書館を使い倒す!』(千野信浩著)を読んだ。

世の中にこれだけ評論家がいながら、図書館評論家なんて 聞いたことがない 図書館趣味人にして、図書館評論家の人は、一人、いるかもしれないなあ!? 図書館を使い倒したら、次は「古書店を使い倒す」のも一つの手だから、 ムックや「ちくま文庫」でなく、…

早速『紙つぶて』が受賞第一弾

『紙つぶて 自作自注最終版』(谷沢永一著)が第4回毎日書評賞を受賞。 まずは一つ目の受賞というところか。 まだ、買っていない(汗)わすも、うれしいなあ。 立ち読みという暴挙(笑)は行った。 1箇所確認したいところがあったから。 『日本近代書誌学…

暮しの手帖ってなんぼのもんじゃ?

世田谷文学館にて、『花森安治と「暮しの手帖」』展が、 2月4日から4月9日まで開催される。 古本本なので、よく名前を耳にするが、花森安治も、暮しの 手帖もあまり身近な存在ではなかったので、この際、勉強 するいい機会かもしれない。 本展では、花森…

「肥田せんせいのなにわ学展」

「肥田せんせいのなにわ学展」 INAX ギャラリー1(京橋)で 2月18日まで。 坪内祐三氏もナンダロウ氏も大阪で観覧済みのためか、 東京会場はあまり宣伝されていないか? (わすは大阪、名古屋でも見ていない。東京でみるか・・・エヘへ) 「論座」2月号…

ちくま新書『図書館に訊け!』(井上真琴著)から

いつぞや書物奉行さんもそれなりにほめていた書。 私は、特に同志社大学図書館で実際にレファレンス業務を担当した著者 による、「レファレンス相談の風景」という実例の紹介が興味深かった。 もっとも、「良い先輩は自分の失敗談を教えてくれる先輩」という…

『本道楽』(中野 三敏著)から

狩野文庫は狩野亨吉という稀代の目利きが十分に嗅覚を働かせて 集めた分類泣かせの集書といえるが、岩瀬の場合は、そんな嗅覚 などどこ吹く風、とにかくある物全部もってこい式に手当り次第 の集め方ゆえ、恐らく弥助自身、何があるやら殆んど御存知なか っ…

『私の稀覯本』(今井田勲著)から

変質で思いついたので『世界名作家庭文集*1』のもう一人の執筆者について書いておきたい。巻中に『ビスマルクの愛の手紙』*2という一冊がある。鉄血宰相ビスマルクと愛人とが交換した手紙で、鉄血どころか、情愛あふれんばかりの清廉な文章で、戦時中文部省…

『今和次郎』(川添登著)から

明治、大正期に、民間学者がきら星のごとく輩出して、偉大な業績 の数々を生んだ。そのなかには、現在にも影響を与えているものが少 なくないであろう。にもかかわらず柳田国男の民俗学など、ごく僅かな 例を除いて、そのほとんどは、継承、発展されることな…

『横田順彌のハチャハチャ青春記』(横田順彌著)から

特記すべきは高校二年生の時東横線・自由が丘駅近くの<文生堂書店>店頭均一台で、押川春浪という明治時代の冒険SF作家の処女作『海底軍艦』(博文館文庫版)ほか数冊を、一冊二十円で手に入れたこと。これが、ぼくの古典SFの研究と明治文化史の研究に…