矢田績(引用者注:三井銀行名古屋支店長)は鈴木禎次を非常に
信頼していたと思われる。矢田は、1921(大正10)年に経
済界の第一線から退くが、翌年永住の地として名古屋に移住して
くる。そして、名古屋のために何が必要かと考え、私財を投げう
って(財)名古屋公衆図書館をつくることにする。このときには、
名古屋市立図書館がようやく着工したばかりであった。
設計は当然のように鈴木禎次に依頼されている。鈴木禎次は単に
設計をするだけでなく、矢田績は、彼をして名古屋公衆図書館の
理事に任命している。評議員には福沢桃介の名前が見られる。
(参考)鈴木禎次は、明治 3年静岡生まれ
明治29年帝国大学工科大学造家学科卒業
明治39〜大正10名古屋工業高等学校教授
昭和16死去
鈴木の妻時子の姉、鏡子は夏目漱石夫人に当たる。
彼の作品は、松坂屋上野店(現存)、旧名古屋銀行本店(現存)、
松坂屋本店(横浜。現存)、岡崎市立図書館(現存せず)など。
名古屋公衆図書館は、大正13年竣工、鉄筋コンクリート造3階
建て(現存せず)。
鶴舞公園の噴水塔も彼の作品だそうだから、久しぶりに名古屋
古書会館に突撃!なんちて。