狩野文庫は狩野亨吉という稀代の目利きが十分に嗅覚を働かせて
集めた分類泣かせの集書といえるが、岩瀬の場合は、そんな嗅覚
などどこ吹く風、とにかくある物全部もってこい式に手当り次第
の集め方ゆえ、恐らく弥助自身、何があるやら殆んど御存知なか
ったのではないか。それを独り整理してこの目録(引用者注:
『岩瀬文庫目録』(昭和11年刊))にまとめられたのが若き
日の森銑三翁である。いわば森翁の江戸学の根底はこの文庫と、
お隣の刈谷の村上文庫の書物によって培われたものと断じても、
それほど誤りはなかろう。
(参考)いつぞや、京王百貨店の古本市で『岩瀬文庫目録』を見たが
森がまとめたのは知らなんだ。
『文学館探索』(榊原浩著)によると、岩瀬文庫の来館者名簿
に反町茂雄、森銑三、徳富蘇峰、長澤規矩也の名があるという。
「日本歴史」1月号に、岩瀬文庫所蔵の古典籍の完全調査と書誌
データーベースの作成に取り組まれているとの記事があった。
企画展も随時開催している。→岩瀬文庫
「こんな本があった!〜岩瀬文庫平成悉皆調査中間報告展Ⅲ〜」
1月21日(土)〜3月26日(日)