神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

カルピスを「初恋の味」にした驪城卓爾と三島海雲ーー厚生書店で見つけた『箕山遺稿』ーー

3ヶ月振りに行った初日の「たにまち月いち古書即売会」(大阪古書会館)。やはり、いいものがありますね。厚生書店出品の『箕山遺稿』(驪城芳子、昭和4年6月)。非売品、273頁、1,000円。驪城卓爾(こまき・たくじ)の遺稿集である。未亡人と思われる印刷兼発行者で…

『レスプリ・ヌウボウ』(ボン書店)同人の田尻宗夫旧蔵?『早稲田広告学研究』(昭和12年)

大阪古書会館で唯書房から買ったと思われる『早稲田広告学研究』9号(早稲田大学広告研究会、昭和12年10月)が出てきた。今広告研究会というと、広告の研究なんかせずに女の子を追いかけるサークルというイメージができてしまった。しかし、この研究会は目次に…

へちま倶楽部の西村貫一と雑誌『金曜』(へちま文庫)ーー『金曜』の終刊時期はいつかーー

増田五良『金曜抄三題』(五典書院、昭和42年)が出てきた。100円の値札シールが貼ってあるので、三密堂の均一台か。目次も挙げておく。 「前書」によれば、神戸へちま倶楽部の西村貫一の主唱で発刊された同人雑誌『金曜』(昭和24年1月から48号まで発行)に掲載さ…

たにまち月いち古書即売会で拾った新密教社の雑誌『家庭と佛教』(大正10年)と福来友吉

3ヶ月振りに大阪古書会館のたにまち月いち古書即売会の初日へ。6月と7月は初日に行けずに2日目に行っていたが、やはり初日でないと特に古本横丁の和本300円コーナーはガタガタであった。初日の今回は、古本横丁で幾つか拾えたほか、杉本梁江堂の300円均一コ…

「喫茶店のリストの本」としての林哲夫『喫茶店の時代』(ちくま文庫)

6月にある人の蔵書処分に参加させていただいた。ありがとうございます。3月の時とは違い、所蔵者本人による処分なのでしばしば解説付きだったのも面白かった。遠慮して数冊に留めたが、そのうちの1冊を紹介しよう。三木正之『ドイツ詩回想・高知』(三木正之…

民俗学者山上伊豆母の父山上忠麿旧蔵?『大綱遺詠』(江坂雄之輔、明治41年)

お盆に三密堂書店で特価本セールが開催された。中止になった下鴨納涼古本まつり用に用意していた特価本を放出したものである。小規模なセールだが、幾つか購入できた。そのうちから、『大綱遺詠』(江坂雄之輔、明治41年3月)を紹介しておこう。大徳寺黄梅院主…

高橋輝次氏旧蔵?金子光晴命名の詩誌『いささか』創刊号(さかえ書房)

2月に開催された水の都の古本展が終わって、半年近くが過ぎた。コロナ騒動が始まってはいたが、まだそれほど心配するような状態ではなかった時期だったと思う。来年の開催までだいぶ間はあるものの、第3波とか第4波が来てませんようにと祈るのみである。一昨…

かわじもとたかさんから貰った青山毅の『ブックエンド通信』創刊号(昭和53年)

だいぶ前にかわじもとたかさんから頂いた『ブックエンド通信』創刊号(青山毅、昭和53年12月)。ありがとうございました。青山の経歴については、ググると「はてなキーワード」に詳しい。昭和15年生、平成6年没。本号刊行時は日本近代文学館勤務、後に日外アソシ…

新井奥邃の英文書刊行に協力した元第三高等学校教授栗原基と進々堂の女主人続木ハナ

このブログで何度か使った『福田與先生回顧録ーー満点の星を仰ぎて君ゆくかーー』(福田與先生回顧録刊行会、平成元年1月)。進々堂の続木ハナ(花子)が出てくるのに、今頃気付いた。『新井奥邃先生の面影と其の談話』(永島忠重、昭和4年12月)等を刊行した永島…

飛鳥園発行の『東洋美術出版目録・東洋美術写真目録』(昭和9年)

小田光雄『近代出版史探索Ⅱ』(論創社、令和2年5月)351回は「小川晴暘、島村利正『奈良飛鳥園』、安藤更生『三月堂』」。そう言えば、飛鳥園の目録『東洋美術出版目録・東洋美術写真目録』(昭和9年11月)を持っていたなあと掘り出してきた。いつどこで買ったのか…

昭和9年に明恵上人の『夢記』に注目していた『紀伊郷土』の濱田康三郎

高山寺開祖の明恵上人(1173-1232)が残した膨大な夢の記録である『夢記』(ゆめのき)。それを知ったのは、平成26年1月にあった河合俊雄先生の講演「河合隼雄との三度の再会」である。『夢記』の「発見」の重要性について語っていたことが、特に印象に残っている。 …

月の輪書林からは『六大新報附録』第1号(六大新報社、明治38年1月1日)

‘ これは数年前の南部古書会館で月の輪書林から1,000円で。『六大新報』の何たるかも知らず、京都で発行された宗教関係の新聞で珍しそうだと買ったのだろう。附録の第1号(明治38年1月1日)から23号(同年6月4日)まで(19号欠)。どこから出たのか、状態は良い。…

京大文学部哲学科の宗教学専攻初代卒業生だった瀧浦文彌のキリスト教人生ーー石川啄木の代用教員時代の同僚上野さめの夫ーー

今日は本来なら下鴨納涼古本まつり3日目だったはずの8月13日。開催されていれば、均一台を中心に掘り出して、レジ袋に一杯詰め込んで帰宅していただろうなあ。 さて、気を取り直そう。ブログでは本論にあまり関係のない人名もできるだけ言及している。今回そ…

岐阜県図書館様 福来友吉は東京帝国大学を辞職ではなく、休職期間満了による失職ですよ!

岐阜県図書館のホームページに「岐阜県ゆかりの先駆者 | 岐阜県図書館」があって面白い。福来友吉を始め、江崎礼二(早取写真の元祖)、和田萬吉(日本図書館界の大恩人)、木村小舟(少年小説作者)、早矢仕有的(丸善の創設者)、和田篤太郎(春陽堂の創設者)らが載っ…

福来友吉と真言宗の関係について研究を期待するーー知恩寺の古本まつりで見つけた『六大新報』ーー

ー 今日は本来なら下鴨納涼古本まつりの初日。中止になってしまったが、秋の百万遍知恩寺の古本まつりに期待したい。さて、何年か前に知恩寺の古本まつりでキクオ書店の和本均一コーナーに、和本ではないが『六大新報』(六大新報社)が出ていた。数部あったが…

『少女』の夏期特別妖怪号(時事新報社、大正3年)

3月にあった某先生の蔵書処分については、「岡本橘仙や金子竹次郎らの読書会記録『列子天瑞篇之研究』ーー黒田天外の旧蔵書かも?ーー - 神保町系オタオタ日記」で言及したところである。残りの宝の山は、下鴨神社の納涼古本まつりで出会えるかと思っていたが…

風船舎で買った小泉與吉の昭和10年創刊『謄写版』(謄写版研究社)に「全国謄写人名簿」

風船舎という目録専門の古書店がある。近年超弩級の古書目録を発行して、目録が刊行されると暫く古本者の話題を独占してしまう。千代田図書館が平成27年に発行した『16人が紹介する特選古書目録』では、岡崎武志氏が風船舎の目録を選んでいるから、その凄さ…

大正13年宮本常一が読んだ探偵小説『死の古城』とは何だろう?

『宮本常一日記青春篇』(毎日新聞社、平成24年6月)を読んだが、幾つか宿題ができた。これもその一つ。謎の探偵小説が出てくる。 (大正13年) 1月23日(水) (略)浜口君の室に行きて『死の古城』なる探偵小説をかりて読む。之位のものを読むに多くの時間を費すは…

九十九豊勝訳・発行のフレデリック・スタール『絵馬』(東洋民俗博物館、昭和5年)

これは「日本の古本屋」で注文したか。フレデリック・スタール著、九十九豊勝訳『絵馬』(東洋民俗博物館、昭和5年12月)。「跋」によれば、スタール博士が大正9年亜細亜協会で講演した「絵馬」を纏めた原書の翻訳である。九十九が大正14年鹿児島県鹿屋中学在任中に…

古本と学天則と短歌ーー昭和初期に煩悶した二人の青年のその後ーー

一昨日紹介した『文学日記:大正十五年』(聚芳閣)は、日付と曜日の関係から3月以降も本来の大正15年の記載があり、昭和3年の記載と混在しているという複雑さが分かった。著者の氏名が不詳なので、「青年A」と呼ぶことにする。もう一人昭和3年において同じく数…

書砦・梁山泊で貰った短歌好きの青年が書いた『文学日記:大正十五年』(聚芳閣)

コロナ騒動前に書砦・梁山泊京都店で日記を貰った。ありがとうございます。私が日記好きなのを知っていて、用意しておいてくれたようだ。『文学日記:大正十五年』(聚芳閣、大正14年11月)へ書き込まれた日記である。1度ざっと読んでみたが、こういうのは時間…

京都で単純生活社を創設したキリスト者瀧浦文彌の「丹田十字架」ーー『腹を錬る:夜船閑話通解と根本的治病法信仰鍛錬法』と『平田式心療法』からーー

瀧浦文彌『腹を練る:夜船閑話通解と根本的治病法信仰鍛錬法』(単純生活社、昭和9年6月)という変わった本が、だいぶ前から積ん読状態である。青空古本まつりの均一台で拾ったものか。瀧浦の経歴を調べて見ると、ビックリした。既に吉永さんあたりが調べてい…