神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

新井奥邃の英文書刊行に協力した元第三高等学校教授栗原基と進々堂の女主人続木ハナ

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 このブログで何度か使った『福田與先生回顧録ーー満点の星を仰ぎて君ゆくかーー』(福田與先生回顧録刊行会、平成元年1月)。進々堂の続木ハナ(花子)が出てくるのに、今頃気付いた。『新井奥邃先生の面影と其の談話』(永島忠重、昭和4年12月)等を刊行した永島忠重の逝去(昭和12年)後の昭和16年、瑛子夫人は奥邃のINWARD PRAYER AND FRAGMENTS を400部出版。「この出版に際しては当時、三高の栗原基教授、ご長男の永島吉太郎氏そして進々堂の続木花子姐等々の求道の人達のご好意によってなされたもの」であるという。なお、同書は国会図書館のほか、群馬県立図書館が所蔵。請求コードがEから始まっているので、朔太郎通信さん御教示により住谷悦治旧蔵の住谷文庫に属するということになる。
 栗原は、昭和5年第三高等学校を退官後は講師であった。永島吉太郎については、ネットで読める内田和秀「横浜山手病院について 26.解説編:北島剛三とその一族(6)」『聖マリアンナ医科大学雑誌』43号,平成28年参照。これに補足すれば、吉太郎は昭和8年3月京都帝国大学文学部哲学科美学美術史専攻卒。栗原、吉太郎、続木の3人を繋ぐのは、キリスト教でしょうね。
 続木については、ネットの「ハナの物語 | 進々堂のあゆみ | 進々堂」参照。娘に白隠禅師の『夜船閑話』や『遠羅天釜』を勧めたというから、只者ではない。昭和9年の夫続木斉の死後、進々堂の主人として奮闘した。NHKの朝ドラのヒロインにしてほしいような人である。林哲夫『喫茶店の時代 あのとき こんな店があった』(筑摩書房、令和2年4月)にもチラッと登場する。
参考:「戦時下に京大北門前の進々堂に通う河上肇 - 神保町系オタオタ日記