神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大正13年宮本常一が読んだ探偵小説『死の古城』とは何だろう?

f:id:jyunku:20200807184918j:plain
 『宮本常一日記青春篇』(毎日新聞社平成24年6月)を読んだが、幾つか宿題ができた。これもその一つ。謎の探偵小説が出てくる。

(大正13年)
1月23日(水)
(略)浜口君の室に行きて『死の古城』なる探偵小説をかりて読む。之位のものを読むに多くの時間を費すは欲[惜?]し、一時間ばかりにして読みおはる。(略)

[ ]内は、編集部による註記

 宮本は、当時数え18歳。逓信講習所の生徒で寄宿舎に入っていた。宮本が読んだ『死の古城』という探偵小説が分からない。国会図書館サーチや「日本の古本屋」ではヒットしない。伊藤秀雄『近代の探偵小説』(三一書房、平成6年6月)の「日本探偵小説年表」にも該当なし。近そうなのは、ルブラン『813』の三津木春影による翻案である『古城の秘密』(武侠世界社)か。前編が大正元年11月、後編が大正2年2月刊行。なお、『宮本常一日記青春篇』の「凡例」によれば、書名等にはほとんど括弧が使用されていないが、『』を補ったとある。探偵小説にはあまり詳しくないので、博識の皆様、よろしくお願いします。