神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

天神さんで『三人』2巻3号(三人社、大正11年5月)を拾う

北野天満宮にて上記を100円で。16頁の歌誌。所蔵図書館は皆無か。富士正晴らの出した『三人』とは無関係。編輯兼発行人は名古屋市西区の渡邊周一、発行所の三人社も同じ所在地。目次は、 武蔵野小景(短歌) 前田夕暮 庄内川稲生附近(短歌) 森三樹雄 四明ヶ嶽(…

吹田草牧『渡欧日記』に桜沢如一の名が

画家吹田草牧が大正11年から12年にかけて渡欧していた時期の日記が京都国立近代美術館ニュース『視る』の303号、平成4年9月から478号、27年8月まで断続的に連載された。わしは全部読んだわけではないが、同時期に渡欧していた入江波光、黒田重太郎、土田麦僊…

夢は東京古書会館でステッキの高さまで古本を買うこと

紀田順一郎氏の『古本屋探偵の事件簿』に、古本屋で毎回ステッキの高さまで古本を買っていく爺さんが出てきたことがあった。本の内容よりも、決めた量まで買わないと気がすまないという一種の病気であろう。しかし、わしも年取って金持ちになったらやりたい…

酒井勝軍の孫が小説の主人公になる時代

その昔、『地球ロマン』復刊全6号や『迷宮』全3号という雑誌で取り上げられた戦前のトンデモない人達も、今や小説や漫画の登場人物となり、身近な(?)存在となっている。 安彦良和『虹色のトロツキー』の安江仙弘、大塚英志氏の木島日記シリーズの藤沢親雄ら…

おーい、『ミステリ研通信』(京大推理小説研究会)でてこーい。

一昨年、京大11月祭で『蒼鴉城』40号(京都大学推理小説研究会、平成26年11月)を購入。研究会の創立40周年記念ということで、OBの作家、森川智喜、円居挽、大山誠一郎、麻耶雄嵩、我孫子武丸、法月綸太郎、綾辻行人各氏が執筆。法月氏の「祝辞と追伸」には、 …

戦前期古書目録の発行部数の一例

大観堂書店の古書目録が削除処分を受けたことについては、「発禁になった大観堂書店の古書目録」で紹介した。『発禁年表』記載の「処分理由又ハ摘要」欄に「美濃部博士の禁止出版物広告掲載」と記載されている典拠は不明だが、『出版警察報』82号に同目録に…

長谷川鉱平宛久保隆一郎(久保喬の本名)葉書

何枚か入手した長谷川鉱平宛葉書の一枚。昭和15年8月20日付けの消印で、文面は、 少年保護拝受致しました。(略) 新しく(久保喬)の名にて再出発の覚悟であります。(略) 長谷川伸三編『近世思想・近代文学とヒューマニズム 長谷川鉱平評論選』(いなほ書房、200…

原武史『皇后考』で疑問に思ったこと

原武史『皇后考』(講談社、2015年2月)は、『蘆花日記』や『関口日記』まで言及されていて感心した。ただ、一点資料の使い方に疑問がある。535頁で、 その翌日、高松宮は日記に謎の記述を残している。 陛下ノ時局ニ関スル御判断、楽観ニスギルヲオソル。御性…

発禁になった大観堂書店の古書目録

『昭和書籍雑誌新聞発禁年表』中巻を見てたら、昭和10年6月5日東京の大観堂書店が発行した『一般古書販売目的[ママ]』が同月20日安寧秩序紊乱で発禁になっていた。内容は、「一四二頁削除、美濃部博士の禁止出版物広告掲載」。美濃部達吉の天皇機関説事件の…

京大生協の古本市で『吾木香ーー三橋(鈴木)節子を偲ぶーー』を

京大生協ルネで吉岡書店が古本市をやっているのを見つけて、上記を購入。編者は父の三橋時雄で、発行所はあらくさ印刷共働作業所。昭和51年2月初版、同年4月2版。節子の経歴は、年譜から要約すると、 昭和14年3月3日 大阪で出生 27年6月 父時雄、京都大学教…

文庫櫂で赤間杜峯編『禁止本書目』(赤間耕文堂、昭和2年6月)を

発禁関係書を多数所蔵する恵美須町の文庫櫂で上記を購入。発行所の赤間耕文堂は京都市五辻通千本東入西五辻東町に所在、取次所は京都市四条通新町西入の文福書店。非売品500部限定だが、古書店・コレクターで愛用されたのだろうか、結構残っているようで、「…

京都大学鞍馬山UFO研究会の女性会長

田口ランディ『マアジナル』(角川書店、平成23年5月)に京都大学鞍馬山UFO研究会の初代会長岡田淳子という女性が出てくる。年に一度の鞍馬の星祭りに山の頂上で部員らとピンク・レディーの「UFO」を踊ると、空飛ぶ円盤がやって来たという。京大で実在したの…

福家崇洋『満川亀太郎』で野波静雄に再会

古本にうつつを抜かし、新刊は中々読めないが、只今はミネルヴァ日本評伝選の上記を。 野波静雄という人物については、「野波静雄と下中弥三郎」、「世界的大旅行家としての野波静雄」などで紹介したが、本書で再会。 大亜細亜協会の前身は従来「汎アジア学…

古書ダンデライオンから『創元推理文庫解説目録』(東京創元新社、1969年8月)を

去年河原町丸太町のアイタルガボンで開かれた古書ダンデライオン「ひとり古本市」で発見、500円。均一台で見つけたいところだが、贅沢は言えない。書き込みは全くない美本。1969年8月付けの「新刊と重版」の挟み込みあり。裏表紙に今は無き「KYOTOオーム社」…

『北方人』24号(北方文学研究会、2016年6月)をいただく

『北方人』24号をお送りいただきました。ありがとうございます。 目次は、 創作/ゆうゆう館小話 通雅彦 創作/文学部教授ルーデ博士(第三章) 哀神シュナイダー 評論/釧路湿原文学史(5) 盛厚三 書誌/なんとなく手にしてみたい装丁本(3) かわじもとた…

長谷川鉱平宛草野昌彦葉書

ブッダ・ハンドの人が長谷川鉱平宛葉書を某書店で見つけたとつぶやいておられたので、残り物に福があるかもとゴッド・ハンドの人になりかわってパトロールに行ってきました。そしたら、ありました。昭和9年3月24日消印の長谷川鉱平宛で兵庫県武庫郡本山村の…

朔太郎が昭和2年に読んで記憶に残った作品

『ブックレビュー』2巻2号(図書研究会、昭和3年1月)の「回顧一年の読書界その他/記憶に残つたものは何/八十名家それぞれの思出」に萩原朔太郎が回答している。 芥川龍之介氏の死後に発表されたる多くの作品。尾崎士郎氏の「運命について」その他/。室生…

田澤耕『<辞書屋>列伝』(中公新書)で解けた村井二郎の謎

八幡書店(はちまんしょてん)から復刻された三村三郎『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』(日猶関係研究会、昭和28年8月)という本がある。かわじ・もとたか『畸人傳・伝』(かわじ・もとたか、1995年8月)で言及されてはいないが、一種の奇人伝でもある…

静坐社サロンのメンバーだった福田與先生

「丸万書店で『福田與先生回想録』(福田與先生回想録刊行会)を拾う」で紹介した福田與は、静坐社*1の研究者の方は既にお気付きのようですが、静坐社に出入りしてました。『福田與先生回想録』の井口大「福田大学学長福田寺住職」によると、 日曜とか平日の…

発禁を免れたと調子に乗って宣伝したら発禁になってしまった『邪淫戒』

「図研出品の『仏教之日本』11巻7号(日本仏教新聞社、昭和14年7月)」で紹介した『仏教之日本』に載っていた『邪淫戒』の広告。「四六版三百八十六頁(上記頁数の内四頁だけ不足せり/お含みの条件附にて御注文乞ふ)」とあって気になっていた本である。た…

『雑誌新聞発行部数事典』で謎の心霊雑誌をハツケン

これまた『雑誌新聞発行部数事典』を見ていて、「あれっ」と思った一冊。『心霊研究』創刊号(山陰心霊科学研究会、昭和11年4月)、12年3月9日処分だが、心霊雑誌で発禁というのも珍しい、『出版警察報』103号を見ると、松江市で発行されたもので、処分理由…

『雑誌新聞発行部数事典』でハツキン雑誌『静坐の生活』をハツケン

『雑誌新聞発行部数事典ーー昭和戦前期 附.発禁本部数総覧』(金沢文圃閣)を読破。ていうか、書名だけ斜め読み。そしたら発禁になったオモロイ本を色々発見。『昭和書籍雑誌新聞発禁年表』の書名も同様に全部見たはずだが当時と今とでは関心領域が異なるの…

丸万書店で『福田與先生回想録』(福田與先生回想録刊行会)を拾う

丸万書店の100円均一台で『福田與先生回想録ーー満点の星を仰ぎて君ゆくかーー』(福田與先生回想録刊行会、1989年1月)なる本を発見。猫猫先生のいうとおり「非有名人を調べるのが楽しい」のだが、全く無名のただの人では困るわけで、最初は本書を買うつも…

大東亜文庫とは何ぞや

以前「新潟県立図書館の大東亜文庫」で話題にした大東亜文庫。出典を書き忘れていて、わしもどこで見たか忘れてたが、ようやく判明した。荘司徳太郎・清水文吉編著『資料年表日配時代史 現代出版流通の原点』(出版ニュース社、昭和55年10月)第3部年表の「…

昭森社の森谷均も図書研究会の会員だった・・・かも

『ブック・レビュー』(後に『ブック・マン』を経て『内務省納本月報』に改題)の復刻版(金沢文圃閣)で発行所である図書研究会々員の名簿を見てると、「森谷均(大阪)」なんていうのもあった。「本会新申込者芳名録(六)」で、同誌1巻12号、昭和2年10月…