発禁関係書を多数所蔵する恵美須町の文庫櫂で上記を購入。発行所の赤間耕文堂は京都市五辻通千本東入西五辻東町に所在、取次所は京都市四条通新町西入の文福書店。非売品500部限定だが、古書店・コレクターで愛用されたのだろうか、結構残っているようで、「日本の古本屋」では2000円から4725円で9点出ている。序によれば、
古書肆の是非知るべきでありながら遂に知り得ないものは発売若しくは頒布禁止になつた書目であらう。
明治四十年前後に於いては官報其他早稲田文学の彙報等に依つてわづかに知るを得たが現在では之を知り得る何等の機関のあるを知らない。
ということで、赤間が京都の古書肆麻田、野畑、前田の協力を得て、本書を発行したという。赤間も「斯業に入つて未だ間もなく」とあるので古書店と思われるが、京都書籍雑誌商組合に加入していなかったのか、『京都書肆変遷史』では確認できなかった。同書によれば、「麻田」は文明堂(上京区丸太町通寺町東入ル)の麻田繁三、「野畑」は野畑書店(後ほんやのばた、下京区大宮丹波口下ル。井畑金次郎創業)か。
本書は、発禁本を単行本と雑誌に分けて、いろは順に並べたもの。単行本は約500冊について処分の種類(風俗壊乱・安寧秩序)、書名、著者を記載。雑誌は約440冊について処分の種類、書名、発行月、発行年を記載。入手した本の面白い点は旧蔵者による書き込みがあって、単行本について70冊ほど追加している。なぜか雑誌には追加はない。更に単行本の書名の上の170冊ほどに赤鉛筆でチェックが入っている。所蔵していたのだろうか。