神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

大学堂書店のおばちゃんは健在だったー京都新聞樺山聡記者が取材ー


 3月26日の京都新聞*1に、大学堂書店の閉店について語る店主の髙井昌子さん(89)の記事。樺山聡記者の取材。仕事が早いですね。
 河原町にあった大学堂書店については、旧ツイッターに店内の古本がリサイクル業者の車に運ばれる写真が投稿され、大騒ぎになった。また、私もシャッターに貼られた閉店を告げる案内の写真を投稿したところである。閉店ということで、店主のおばちゃんが亡くなったのかなと心配していたところ、病気療養中とはいえ、御健在と分かりホッとした。ありがとうございます。
 記事によるとノーベル文学賞受賞者のあの人のほか、三島由紀夫大佛次郎も来店したという。明治40年頃創業以降の歴史について紹介されているが、補足しておこう。「『書物礼讃』を印刷した唐舟屋印刷所の堀尾幸太郎・緋紗子兄妹ーー高橋輝次『古本こぼれ話〈巻外追記集〉』への更なる追記ーー - 神保町系オタオタ日記」で言及したように大学堂書店(杉田大学堂書店)は、戦前書物雑誌『書物礼讃』(大正14年6月~昭和5年7月まで11冊)を発行していた。執筆者は、石川巌、尾崎久弥、頴原退蔵、神代種亮、佐古慶三、庄司浅水新村出、杉浦丘園、鈴木大拙、禿氏祐祥、内藤湖南、成瀬無極、矢野峰人錚々たるメンバーであった。地の利を活かして、三高、京大、大谷大の先生が多い。
 古書目録も発行していて、家蔵の大正14年10月*2発行分(76頁)が確認できる限りでは最も古い*3平成27年みやこめっせの古本まつりで500円。

*1:有料配信の「THE KYOTO」では、3月15日

*2:奥付による。表紙には、「大正十四年十一月印行」とある。

*3:号数の表示はない。近代書誌懇話会編・鈴木宏宗解説『日本古書目録大年表:千代田区千代田図書館所蔵古書販売目録コレクション』(金沢文圃閣平成27年1月)記載の大学堂書店の目録で最も古い。ただし、8号,大正15年4月が記載されていて、ひと月に1冊とすると大正14年10月より古い号が存在しそうである。