神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『京都大学大学文書館だより』45号に渡辺恭彦「教職追放を受けた京大教員」掲載


 先日何十年か振りに哲学の道を歩いてきた。疎水にできた花筏や風に舞う花吹雪を味わいながら、私も京都学派の一員になった気分であった。そうすると、『京都大学大学文書館だより』45号(京都大学大学文書館、令和5年10月)に渡辺恭彦「教職追放を受けた京大教員」が掲載されていたことを思い出した。
 戦後公職追放や教職追放を受けた京大の教員については、このブログで「学内の権力闘争に敗れ教職追放となった京都学派の西谷啓治と鈴木成高 - 神保町系オタオタ日記」を書いたり、旧Twitterで↓のようにつぶやいたことがある。

 今回、渡辺先生が大学文書館所蔵資料に基づき文学部で教職不適格の判定を受けた松村克己、西谷啓治鈴木成高の経緯について明らかにしてくれた。ネットで読めます。→「Kyoto University Research Information Repository: 京都大学大学文書館だより 第45号
 渡辺先生が書いておられるように、高坂正顕高山岩男は、大日本言論報国会理事を理由として教員適格審査委員会の判定を経ずに自動的に不適格となっている。この点、『物語「京都学派」:知識人たちの友情」と葛藤』(中央公論新社)で高坂・高山は公職追放、西谷・鈴木は教職追放と区別した竹田篤司は誤っていたことになる。私も一時期竹田と同じ認識であった。正しくは、高坂・高山は公職追放と教職追放、西谷・鈴木は教職追放ということになる。
 こういう大学の影に当たる事実でも忌憚なく研究・公開する京大の姿勢は、誇らしいものがある。ぜひとも、公職追放や教職追放に関する展覧会も実施してほしいものである。