神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

へちま倶楽部の『金曜』創刊異聞ー忍頂寺務宛の増田五良・西村貫一書簡がネットで読めるよー

 
みなと元町タウンニュース』(みなと元町タウン協議会)では、平野義昌「海という名の本屋が消えた」が引き続き連載中。「元町の月刊タウン誌「みなと元町タウンニュース No.368」発行|みなと元町タウンニュース|元町マガジン|神戸の良さが元町に、神戸元町商店街」掲載分の「西村旅館(5)」で拙ブログ「へちま倶楽部の西村貫一と雑誌『金曜』(へちま文庫)ーー『金曜』の終刊時期はいつかーー - 神保町系オタオタ日記」に言及していただいて、あらためてありがとうございます。
 さて、西村旅館の経営者だった西村貫一が創立したへちま倶楽部の機関誌『金曜』について、面白いネタがある。このブログで何度か言及した『近世風俗文化学の形成ー忍頂寺務草稿および旧蔵書とその周辺』(国文学研究資料館平成24年3月)の内田宗一「小野文庫所蔵忍頂寺務宛書簡目録・解題(附・差出人氏名リスト)」である。ネットで読めます。→「「近世風俗文化学の形成」成果報告」ここには、西村13通、へちま倶楽部4通、増田五良(『金曜』編集同人)9通の書簡が含まれている。このうち、昭和23年12月28日付け消印の増田書簡の内容要約を引用しよう。

金曜会は絶えることなく続いている。11月末の時は高安六郎氏に話をしてもらい、盛会。会からポケット型の『海光』という小冊子を出そうという話が出ていて、自分と長田氏*1が編集を担当する。1月末には創刊できそうである。ついては、貴方が『読書展望(ママ)』寄稿用に書いた「よしこの節に就て」の原稿を載せてもよいか。 

( )内は、内田氏による注

 「小冊子」は、内田氏が同目録の備考欄に記しているとおり、『金曜』のことで、創刊号(昭和24年1月発行)に忍頂寺の「よしこの節」が掲載された。この書簡により、『金曜』は発行直前までタイトルは『海光』で進められていたことが分かる。いかにも港町神戸らしいタイトルですね。

*1:『金曜』編集同人の長田富作