神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

昭和7年における友清歓真とチャーチワードのムー大陸の遭遇ーー古書からたちで買った『神界の経綸と天行居の出現』からーー

神道天行居の友清歓真がチャーチワードのムー大陸に言及していたことは、「日本における「ムー大陸」受容史 - 神保町系オタオタ日記」で紹介したところである。あらためて読むと、日本における最初のムー大陸紹介者とされる三好武二が「MU(ルビ:ミユウ),」と…

ユリア・ブレニナ「日蓮主義と日本主義ーー田中智学における「日本による世界統一」というビジョンをめぐってーー」を読んで

今日は、午後から「「仏教と近代」研究会 合評会「『近代の仏教思想と日本主義』」を拝聴。熱のこもった議論や吉永さんのツッコミもあり、楽しめました。さて、同書(法藏館)については、 「『近代の仏教思想と日本主義』(法藏館)の栗田英彦「日本主義の主体性と抗争…

フランス極東学院長クロード・メートルも読んでいた井上円了:一栄堂書店で見つけた井上玄一『哲学堂随想』から

神戸古書倶楽部には、何年も行っていない。入ってすぐ左手に一栄堂書店が出店していたと思う。今は、そこにハモニカブックスが入っているのかな。一栄堂で井上玄一『哲想堂随想』(哲学堂宣揚会、昭和26年12月)を見つけた時は、ビックリ。謄写版、25頁で100円…

「日本人=バビロン起源説」を提唱した原田敬吾のバビロン学会と無教会主義の塚本虎二

戦前の各種団体の名簿を斜め読みするのが好きで、思わぬ人の名前を発見するのが楽しみである。1度見た名簿でもある程度時間を置いて再度見ると、以前はまだ知識のない人物だったため気付かなかった人名を発見することがある。今回、前島礼子「原田敬吾の「日本…

大正期に哲学堂を散歩して井上円了博士に出会う秋田雨雀

『秋田雨雀日記』の特に大正期が面白い。著名な小説家、詩人、画家、劇団員は勿論、エスペランティスト、アナキスト、宗教家、オカルティスト、求道者、奇人・変人など何でも登場する。妖怪博士の井上円了も出てくるのである。たとえば、第1巻(未来社、昭和4…

日本におけるムー大陸受容史ーー「日本オカルティズム史講座」第4回への補足ーー

「日本オカルティズム史講座」第4回の吉永進一「日本のピラミッドと超古代の夢:1930年代」を拝聴。戦前のトンデモない人物はたいてい知っていると自負していたが、未知の怪しい人達が大分出てきたので驚いた。それでも、最も驚いたのは三浦関造の上海での活動の…

明治41年京都初の映画常設館電気館で活動写真を観る青年の日記

3月4日京都新聞に、藤森照信『藤森照信のクラシック映画館』(青幻舎)の刊行記念イベントが徳正寺で開かれたという記事が載った。これまた、樺山聡記者だ。100年近く続いた新京極の映画館旧八千代館に関して、同寺住職の扉野良人氏が発見した大正2年の「大工職…

名所旧跡の写真をバコバコ買う明治初期の写真コレクター斎藤月岑

明治初期の日記は、まだ江戸時代の延長の感じがあって、私の好きな人物や事物が登場しないのであまり読んでいない。しかし、たまにはと言うことで『斎藤月岑日記』10(岩波書店、平成28年3月)を読んでみた。明治7・8年の日記である。印象に残るのは、戸長を辞…

分離派建築会と板垣鷹穂・堀口捨己編『建築様式論叢』の六文館主鹿島鳴秋(本名・鹿島佐太郞)

京都国立近代美術館で「分離派建築会100年 建築は芸術か?|京都国立近代美術館 | The National Museum of Modern Art, Kyoto」開催中。前期は2月7日までで、後期は2月9日から3月7日まで。私は前期を既に観たが、見応えのある展示で後期も行きたくなるものであ…

百合子は起つ。分離派建築会作品展と宮本百合子

野上彌生子について、分離派建築会作品展を観たとは確認できなかった*1。では、友人の宮本百合子はどうだろうか。なんと言っても、父親が建築家の中條精一郎(ちゅうじょう・せいいちろう)である。更に、現在京都国立近代美術館で開催中の「分離派建築会100年 …

大正生命主義と宮本百合子ーーあったかもしれないムー大陸と宮本百合子ーー

ヘッケル『宇宙の謎』(大正5年1月2日) スターバック『宗教心理学』(大正5年1月7日) メーテルリンク『死後は如何』(大正5年9月18日) デゼルチス『心霊学講話』(大正5年9月8日購入[同月金銭出納簿]) 加茂熊太郎『迷信と科学』(大正6年2月22日) 速水滉『現代の…

三密堂書店で槙村正直『私用文』(書籍会社、明治7年)を発見ーー「夢見る京都集書院」の世界ーー

三密堂書店で槙村正直『私用文』(書籍会社、明治7年4月)を購入。昨年から店内にあった。しかし、表紙の「槙村正直 私用文初編」だけを見て、京都府知事を務めた槙村個人の著作ではなく、京都府が作成した教科書で名義だけ槙村にしたのだろう、教科書なら幾つか…

昭和3年9月、野上弥生子は分離派建築会第7回作品展を見たか?

京都国立近代美術館で「分離派建築会100年展 建築は芸術か?」、好評開催中。展示物や映像には、何度か驚かされた。その1つが、大正9年7月白木屋で開催された第1回作品展の芳名帳に芥川龍之介の名前があったことである。 展覧会の研究は、とかく史料が残る「見…

大正期における展覧会場としての星製薬ーー分離派建築会第3回作品展も星製薬だったーー

今日から京都国立近代美術館で始まった「分離派建築会100年 建築は芸術か?」展を見てきました。聖橋、楽友会館、旧多摩聖蹟記念館、林芙美子記念館など行ったことがある建築物が分離派建築会つながりとは知らなかったので、驚いた。映像もじっくり見てたら、2…

帝国図書館御用書肆としての青木嵩山堂ーー荘門熈編『新選詩学自由自在』の発行年を探るーー

新年早々、三密堂書店から荘門熈編『新選詩学自由自在』(青木嵩山堂)を購入。巻之一の序文(越橋逸人)に明治14年5月、巻之四の奥付に発行年月日の記載はないが「東京帝国大学 京都帝国大学 高等師範学校 第一高等学校 学習院 帝国図書館 御用書肆」とあるので購…

竹内瑞穂『「変態」という文化』(ひつじ書房)に『風俗史研究指針』の森徳太郎

竹内瑞穂『「変態」という文化:近代日本の〈小さな革命〉』(ひつじ書房、平成26年3月)に、『風俗史研究指針』(中外出版、大正12年9月)の森徳太郎が出てきた。『変態心理』大正10年10月号(又は11月号)掲載の「変態心理の研究に興味を持つた動機」への投稿から「学…

九十九黄人の東洋民俗博物館でエログロ絵画・写真を見る大場磐雄先生ーー九十九黄人の伝記を期待ーー

大場磐雄『楽石雑筆』の読書も下巻*1に突入。大場は、正倉院の御物を見た後、九十九黄人(豊勝)の東洋民俗博物館へ寄っていた。 (昭和十四年) ◎十一月十一日(土)(略)それより大軌にてあやめ池下車、東洋民俗博物館へゆく、始[ママ]めてなり。九谷[ママ]豊勝氏…

大場磐雄『楽石雑筆』に酒井勝軍と上原清二ーー1月23日第4回「オカルティズム史講座」開催ーー

1月23日午後1時からZoomで第4回「オカルティズム史講座」が開催されるようだ。 吉永進一「日本のピラミッドと超古代の夢:1930年代」 ヤニス・ガイタニディス「出版スピリチュアリティ:精神世界の出版社と翻訳者」 吉永さんの日本のピラミッド関係は、特に熱の入…

京都帝国大学文学部心理学教室第三代教授岩井勝二郎の日記ーー書砦・梁山泊から貰った日記にビックリーー

書砦・梁山泊京都店の島元さんから幾つかの日記を貰った。そのうち昭和12年の日記を紹介しよう。日記に筆者名の記載はない。半分も解読できていないが、「大谷大学」や「大学」で講義をしていることは直ぐに分かった。最初は大谷大学が本務の先生と思ってしまっ…