神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

竹内瑞穂『「変態」という文化』(ひつじ書房)に『風俗史研究指針』の森徳太郎

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 竹内瑞穂『「変態」という文化:近代日本の〈小さな革命〉』(ひつじ書房平成26年3月)に、『風俗史研究指針』(中外出版、大正12年9月)の森徳太郎が出てきた。『変態心理』大正10年10月号(又は11月号)掲載の「変態心理の研究に興味を持つた動機」への投稿から「学生?・國學院国文科」とし、動機は妖怪への興味だったという。また、同誌への寄稿は4回で、『風俗史研究指針』出版以後はなく、江馬務主宰の『風俗研究』への投稿が中心になっていったらしい。
 『風俗史研究指針』の江馬「序」には、次のようにある。

 著者森君は大阪の素封家に生れながら、家職を放擲して拮据独学、これを唯一の娯楽とせられてゐる。(略)自ら雞徳書院を起して来学の士を指導し、自らは特に風俗史に趣味を有せられて其研究の結果は、屢私の主宰してゐる風俗研究会の機関雑誌の風俗研究の誌上に発表せられ、今や斯学界に重きをなして居られる。(略)

 また、森の「はしがき」には「私が斯学に特殊な興味を持つようになつてから一旬を越した」とある。論文一覧と続刊予定も掲載されているので、写真を挙げておく。どれも面白そうな続刊のタイトルだが、刊行されていないようだ。亡くなったのだろうか。
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 なお、竹内著153頁の注31に小山内薫の大正5年頃の信仰に関して、「巣鴨の至極殿」とあるが、正しくは「至誠殿」。3回「至極殿」としているから、誤植ではなく記憶違いか。