神保町系オタオタ日記

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九十九黄人の東洋民俗博物館でエログロ絵画・写真を見る大場磐雄先生ーー九十九黄人の伝記を期待ーー

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 大場磐雄『楽石雑筆』の読書も下巻*1に突入。大場は、正倉院の御物を見た後、九十九黄人(豊勝)の東洋民俗博物館へ寄っていた。

(昭和十四年)
◎十一月十一日(土)(略)それより大軌にてあやめ池下車、東洋民俗博物館へゆく、始[ママ]めてなり。九谷[ママ]豊勝氏に面会、先ず普通の部より見る。各地の土俗品多数陳列しあり、中に大隅方面の神像おもしろし。それより特別室に入る、聞きしに勝る陳列品にて所狭き迄並べたる。エログロの絵画、写真、実物等、眼を奪うばかりなり、やがて各種の写真、絵画等を見せる、特に珍品はなけれどよく集めたるものなり、阿部定の調書の如きもあり、同好の士二名来る。それより六時過ぎまで語りて余も会員に加わり(会費二円)今後を依頼して去る、再び大軌にて鶴橋下車、乗替えて大阪に来り、阪急ホテルに入る(略)

 大場先生は、東洋民俗博物館の特別室で色々見せてもらったようだ。「大軌」は大阪電気軌道(現近鉄)で、東洋民俗博物館はあやめ池駅のそばにあった。冒頭の写真は、ひげ美術から入手した大軌発行のリーフレット。同じ物2枚で500円。九十九の経歴は、ネット上の「九十九豊勝 | Kokeshi Wiki」である程度分かる。しかし、本格的な伝記が期待されるところである。
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 九十九は、年賀状等で日々の出来事を知人に送っていて、写真をあげた昭和54年の年賀状もその例である。シルヴァン書房から200円で入手。これが集まれば、詳細年譜とまでいかなくても、ある程度後半生の人生模様が判明しそうだ。
参考:「東洋民俗博物館の九十九豊勝と足立史談会の福島憲太郎 - 神保町系オタオタ日記」「九十九豊勝訳・発行のフレデリック・スタール『絵馬』(東洋民俗博物館、昭和5年) - 神保町系オタオタ日記
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*1:『大場磐雄著作集』第8巻(雄山閣出版、昭和52年1月)