神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

花見にも行かず『早稲田古本屋日録』を読む

先週の「週刊新潮」で紹介されていたからというわけではないが(て、どこかでも使った言い回し)『早稲田古本屋日録』を読んだ。 ちょうど、昨年は穴八幡宮の青空古本祭に行ったので、当日までの段取りが特に興味深かった。ブログでは読んでいたけれど、活字…

エスペランチスト藤澤親雄とその時代(その3)

大正11年の夏、 ジュネーブ、 エスペラントで会話する二人の日本人。 一人は、エスペラントに限らず、語学の神様と言われ、国際連盟事務局員として、事務次長新渡戸稲造の秘書的役割も務める男、 お馴染みの藤澤親雄である。 もう一人のエスペラントは、ま…

エスペランチスト藤澤親雄とその時代(その2)

前回、藤澤は官僚時代にエスペラントに出会ったと書いたが、学生時代(大正6年7月東京帝国大学法科大学法律学科卒)から出会っていたことが判明した。 すなわち、「我等」(大正8年9月号)中の「エスペラント練習の経験」(藤澤親雄)によると、 自分が国際…

エスペランチスト藤澤親雄とその時代(その1)

2月3日に紹介した太古文献論争(昭和18年7月)で、島田春雄につるし上げをくらった戦前の竹内文献の信奉者として著名な藤澤親雄。座談会では、次のようなやりとりがあった。 島田 エスペラントはやめて下さいよ。 藤澤 すつかりやめちやつた。 島田 私…

上海自然科学研究所中央図書室司書西村捨也

書こうと思ったが、本(『上海自然科学研究所』佐伯修著)がどこかへ行っしもうた。 本が見つかった! 引用すると、 研究所図書室司書の西村捨也が、内山書店の老板(店主)内山完造を介して、雑誌『自然』の題字揮亳を依頼したとき、魯迅は55歳(数え)だ…

坪内祐三「日記から」(毎日新聞連載)最終回は誰の日記になるか?

坪内祐三氏が、毎日新聞(東京版)で毎日曜日に連載している、「日記から 50人、50の「その時」」。 既に次の人物の日記が紹介されている。 夏目漱石 三島由紀夫 青野季吉 志賀直哉 野上弥生子 森田草平 高野悦子 柳田国男 中島健蔵 山田風太郎 江藤淳 …

櫻澤如一の解けない謎

1 内田良平との関係 司法省の極秘資料か(?)と思われる「全国国家主義団体一覧」によると、財団法人食養会について、 性格 一、正食正養ヲ通ジテ惟神皇道ノ宣布ヲ主張ス 一、大日本生産党系役員 顧問 櫻澤如一 会長 関根康喜 理事 原典作、江藤源九郎、小…

岩村正史『戦前日本人の対ドイツ意識』(慶應義塾出版会、平成17年3月)にぶんなぐられる。

岩村正史氏の『戦前日本人の対ドイツ意識』を何気なく読んでいると、ガーーーーン。 藤澤親雄や、黒田礼二がてんこ盛り。特に、書き下ろしの第7章「日独同志会関係者の親独論」はすごいなあ。 以上のような[日独防共]協定批判が広く展開されている状況に、…

大川周明とトンデモ本の世界(その11)

4 大川周明と鵜澤總明(補遺) 鵜澤の名前を意外なところで見る。 『透視も念写も事実である』(寺沢龍著)によれば、霊の、じゃないや、例の千里眼事件で登場する高橋貞子(リングの「貞子」は、この名前からきているのだろうね)夫妻は、千駄ヶ谷の鵜澤の…

わすは「古本」に恋した

「波」3月号中「恋は粘りが勝負−松田哲夫(イラスト・内澤旬子)『「本」に恋して』」(山本容子氏:銅版画家)によれば、 恋の顛末を語る眼となり、頭の中のイメージを代弁する役目は、内澤旬子さんのイラストが務めている。松田さんの視線の動きや注視す…

大川周明とトンデモ本の世界(その10)

4 大川周明と鵜澤總明 『酒田市立光丘文庫所蔵大川周明旧蔵書目録』には、鵜澤の著書もある。 『祥湫論集』(大正5年)・・・法律書に分類されている。 『老子の政治思想に就いて』(昭和2年) いずれも未見だけど、トンデモ本ではなさそう。 それにして…

大川周明とトンデモ本の世界(その9)

3 大川周明と櫻澤如一(補遺) 大川と櫻澤を結ぶ軍部関係についてはあまりネタがないので、言及しなかったが、『大川周明日記』中、昭和18年9月30日の条に「夕六時より桜澤先生宅に招かれて夕食、渡辺[渡]少将、高田集蔵先生と共なり、十時半帰宅」と…

大川周明とトンデモ本の世界(その8)

3 大川周明と櫻澤如一(承前) 櫻澤と中山の関係については、『食生活の革命児』(松本一朗著。昭和51年4月刊) にある、 かれは6年間フランスで暮らしたが、この間国際情勢ことにユダヤ人問題に通じるようになり、日本指導者の世界認識の甘さを痛感し…

大川周明とトンデモ本の世界(その7)

3 大川周明と櫻澤如一(承前) あわてて、草柳大蔵『実録満鉄調査部』上巻を見る。岡上(黒田)の名前がちゃんと出ている。 松岡[均平]は東大ではじめて社会主義を講義し、その中でマルクス主義を紹介した教授である。伊藤武雄によると、そのときの松岡の講…

大川周明とトンデモ本の世界(その6)

3 大川周明と櫻澤如一 藤澤親雄は、数冊のトンデモ本を出しているが、酒田市立光丘文庫には収蔵されていない。これに対して、藤澤を「畏友」と呼んだ櫻澤如一の本(トンデモ本とは言えないが)は、次の三冊が収蔵されている。 『新しい榮養學』(昭和17年…

大川周明とトンデモ本の世界(その5)

2 大川周明と藤澤親雄(補遺) 藤澤は、エスペラントも含め語学に堪能であった。意外な人に、藤澤の人物について語ってもらおう。 徳川夢声『夢声自伝(中)』(講談社文庫)によると、 どういうわけで、私みたいな人間が、この重大使命をおびた儀礼艦に乗…

島田春雄って・・・

2月3日、10日、14日に言及した島田春雄って、昨年12月30日に言及した島田翰の次男だった。知らなんだ・・・ 書物奉行さんやら、森さんは知っていたのだろうなあ。しょぼーん・・・

大川周明とトンデモ本の世界(その4)

2 大川周明と藤澤親雄 大川周明の自伝『安楽の門』には、「大学を出てからも別に職を求めることもせず、多くも要らぬ衣食の資を参謀本部の独逸語翻訳でかせぎながら、毎日大学図書館に通って居た」とある。また、大塚健洋『大川周明』(中公新書)の略年譜…

大川周明とトンデモ本の世界(その3)

1 大川周明と小谷部全一郎(補遺) 酒井勝軍については、竹内文献の信奉者と筆頭に挙げられるほどよく知られているかと思うが、小谷部と竹内文献の関係については、あまり知られていない。 昭和16年に亡くなる小谷部は、晩年、竹内文献や、心霊主義にどっ…

大川周明とトンデモ本の世界(その2)

1 大川周明と小谷部全一郎(承前) 大川の自伝『安楽の門』によると、 私は頭山[満]翁に於て真個の日本人を、押川[方義]先生に於て真個の信神者を、八代[六郎]大将に於て真個の武人を見た。 とある。押川は、ヨコジュンのファンの方には押川春浪の父として…