神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『風俗研究』138号(風俗研究所、昭和6年11月)で見る風俗研究会の二十年

『風俗研究』は一冊だけ持っているので、紹介しておこう。創刊廿周年紀念の明治風俗号なので購入。編輯兼発行者は江馬務、発行所の風俗研究所は江馬の住所と同じ京都市富小路松原上ルに所在、印刷所は京都市仏光寺通大宮西の天進社印刷所。目次は、 口絵 新…

発禁本コレクター城市郎の終焉

城市郎氏の発禁本コレクションが明治大学図書館に寄贈され、平成24年に「城市郎文庫展ーー出版検閲と発禁本」が開催された。私は発禁本そのものはあまり関心がないが、愛書家の蔵書には興味があるので、同図書館まで見に行ったものである。城氏はパンフレッ…

財団法人佐藤新興生活館生活図書館旧蔵の仏教社会学院編『新興類似宗教批判』

東京古書会館の何展で買ったか不明だが、水平書館の千円の値札が残っている。大東出版社から昭和11年2月発行。 目次は、 新興宗教批判 椎尾弁匡 邪教は何故繁盛するか 高島米峰 擬似宗教は人心を□毒す 加藤咄堂 謂る邪教の教学的批判 石津照璽 精神病学から…

『田代善太郎日記』に風俗研究会や仏教児童博物館、はたまた嵯峨断食道場

『田代善太郎日記』昭和篇(創元社、昭和48年10月)は、田代が京都帝国大学理学部嘱託だった時代の日記。残念ながら京都の古本屋やカフェーに関する記述はほとんど出てこないが、家族の外出先も記録されていてその中に興味深いものがあった。 ・江馬務の風俗研…

『北方人』25号(北方文学研究会)をいただく

盛厚三氏より『北方人』25号を送っていただいた。ありがとうございます。 目次は、 創作/ゆうゆう館小話(3) 通雅彦 創作/理想郷チルワツナイ 哀神シュナイダー 評論/釧路湿原文学史(6) 盛厚三 研究/[復刻]原野の俳人・長谷川光二ーー牧場経営と俳句人生…

戦前も小林信子の静坐社に通っていた福田與

福田與が戦後静坐社に通っていたことは、「静坐社サロンのメンバーだった福田與先生」で言及したところである。戦前はどうだったのかなあと思っていたら、自伝『満天の星を仰ぎて』に出てきた。 私は昭和六年ごろ、ふと何心なく京大の掲示板を見たところ、仏…

勤労女学校や印刷学校も設立した希望社の後藤静香

長崎県立高等女学校で田代善太郎と同僚だった後藤静香(ごとう・せいこう 1884-1969)。希望社という出版社を創立したということなので、調べたら面白そうな人物であった。『大正人名辞典Ⅱ』下巻(底本は『大衆人事録』昭和3年版)から要約すると、 後藤静香 勤…

小笠原秀実の白塔歌会の会員だった福田與

福田與の自伝『満天の星を仰ぎて』(福田図書室、昭和61年10月)を読書中。 福田が京都府立京都第一高等女学校国漢専攻科に通っていた時代(大正12年3月〜15年3月)の話に江馬務の風俗研究会や小笠原秀実の白塔歌会が出てくる。 風俗研究会は週に一度、柳馬場松…

植物学者田代善太郎、霊動をなし得たり

牧野富太郎、田代安定らと親しかった植物学者の日記『田代善太郎日記 大正篇』(創元社、昭和47年10月)に大正期地方のインテリ層と霊術との関わりを示す記述が幾つかあったので記録しておこう。 まず、田代の大正期までの経歴だが、 明治5年 福島県東白河郡生…

大阪古書会館で古本が古本を呼んで鳥居篤治郎編『永遠への黎明』を

東京の趣味展へ行くのは止めて、大阪古書会館へ。そうしたら数日前に話題にした鳥居篤治郎編集の本を発見。発行者は京都市の中原脩司、昭和11年6月発行、印刷者は金沢の高橋覚吉。246頁、非売品*1。本書は大正7年3月に鳥居の長男として生まれ、昭和10年3月亡…

昭和図書館の古書展に通う住谷悦治と絲屋寿雄

誰ぞと昭和図書館の噂をしてたらキター\(^o^)/ 臨川書店のバーゲンで100円だった『春風秋雨ーー住谷(桔梗)よし江の八十六歳誕生日にーー』(住谷悦治、昭和51年11月)の絲屋寿雄「万歳(まんざい)ーー京都へ来られたころーー」に出てきたのだ。 今から四十年…

岡田播陽の娘がはまった関東断食寮

岡田誠三『自分人間』(中央公論社、昭和52年1月)に岡田播陽の娘で、誠三の妹に当たる照子が昭和13年9月列車から転落死した話が出てくる。残された日記によると、 上京した照子はかねて予定していたように、東海道線国府津の町外れの海べりにある断食寮で数回…

アグネス・アレキサンダーからバハイの教えを聞いた福田與

福田與の歌集『草の花』(初音書房、昭和37年7月)の昭和27年の部に「アレキサンダ女史」と題して歌が載っていたので一部を紹介。 七十七歳のアレキサンダ女史に会ひその若若しさにしばし驚く 国々を旅してここに五十年バハイの教をときひろめ給ふ せまき部屋…

国際政経学会常務理事増田正雄の敗戦前後

「戦時下のユダヤ研究会と丸山敏雄の日記」で紹介したユダヤ研究会と丸山の関係は、昭和19年から始まっている。『丸山敏雄全集』17巻(倫理研究所、昭和54年5月)に次のようにある。 (昭和十九年) 五月六日(土)猶太研究会 (略) 午後一時より読売五階講堂にて山…

大塚正基文庫目録に『夜の大東京』創刊号

『大塚正基文庫目録 播磨ゆかりの文人の資料』(姫路文学館、平成11年3月)の「雑誌Ⅰ(NDC別)」を見ると、創刊号は80冊ほど。その中に『夜の大東京』創刊号(夜の大東京、大正14年10月)があった。副書名は「社会研究雑誌」とあり、どんな雑誌かと思っていた。…

古本あるあるで解けた福田武雄『断食日記』の謎

たまたま買った古本によって別の古本の謎が解けることがたまにある。これもそんな「古本あるある」の一例。みやこめっせの三密堂書店出品の福田武雄『断食日記』は、昭和2年11月1日から7日まで仏国寺で断食を行った際の日記の影印版だが、奥付もなく、著者も…

下鴨納涼古本まつりでは藤井会編『藤井療法の真価と輝く寿像』を

今年の下鴨納涼古本まつりも終わってしまって、次の青空古本まつりは来月の天神さんと四天王寺である。さて、上記は竹岡書店の3冊500円のコーナーで発見。この1冊が欲しかったが、1冊売りはしないということで後2冊探すのに苦労した。最終日は10冊500円にな…

天神さんの古本まつりで拾った村雲龍三『革身術』

昨年天神さんの古本まつりの100円均一コーナーで拾った一冊。昔、井村宏次先生の霊術本や田中聡氏の健康法本を愛読していたので、今でも戦前の怪しそうな療術本を見かけるとつい買ってしまう。本書は、大阪市住吉区天王寺町の村雲革身術普及会から昭和2年11…

文庫櫂で青空書房旧蔵の『NULL』創刊号を

青空書房の坂本健一さんが亡くなられてその旧蔵書は早々に大阪の市会に出たようで、筒井康隆関係の一部を落札したらしき文庫櫂から私が一式購入。筒井氏が家族でやっていたSF同人誌『NULL』創刊号(ヌル編集室、昭和35年6月)はそのうちの一冊。目次は、…

田多井四郎治のウエツブミ研究会と田中治郎左衛門

今日は某先生の書庫に唖然・騒然・愕然とした一日であった。 さて、『丸山敏雄全集』17巻(倫理研究所、昭和54年5月)にウエツブミ研究会が出てくる。 (昭和十七年) 五月二十三日(土)晴 (略) 一時に飯田橋から下りて、営林局会議室で、ウエツブミ研究会に出席…