神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

小笠原秀実の白塔歌会の会員だった福田與

福田與の自伝『満天の星を仰ぎて』(福田図書室、昭和61年10月)を読書中。
福田が京都府立京都第一高等女学校国漢専攻科に通っていた時代(大正12年3月〜15年3月)の話に江馬務の風俗研究会や小笠原秀実の白塔歌会が出てくる。

風俗研究会は週に一度、柳馬場松原の江馬務先生のお宅の図書室を開放された様なお部屋で開かれました。(略)
江馬務先生が風俗史(服飾史)について、昔から今に至るまでの変遷をお話しくださるのを、私どもは丹念にノートしたものでした。風俗史だけでなく、時には仏専から学者の小笠原秀実先生を招いて美学の話を何回かお聞きしました。また時には、琴の名手、鈴木鼓村先生(那智俊宣)も来られて、和楽器や邦楽のお話だけではなく、実習もしてみせてくださるのでした。

そして、「『白塔』創刊号(白塔社、昭和3年6月)と小笠原秀実」で紹介した『白塔』が出てくる。

さて、美学の講師の小笠原秀実先生は、ずっと聖護院西町にいらしたため、私が後年、銀閣寺の近くへ移ってからも、よく電車の中などでお会いしたものでした。(略)ある時、可愛らしい「白塔」という白色の歌集をとり出して示され、「次の日曜日、白塔歌会をやるからあなたも差し支えなかったら来てはどうか」というお招きを受けました。呑気者の私は、日曜になると早速先生のお宅へ寄せていただきました。(略)その後も白塔歌会には、二、三回寄せていただきました(略)
私は「白塔」が機縁になって短歌は岡本大無先生に師事したのです。

『白塔』創刊号には小原與の名前があり、福田の旧姓が小原(昭和4年11月福田武雄と結婚)だから、実際は創刊号から参加していたようだ。
ああ、シルヴァン書房(四天王寺)で買った『白塔』創刊号と丸万書店で買った『福田與先生回想録』*1がこれでつながった。三密堂書店(みやこめっせ)で買った福田武雄『断食日記*2とシルヴァン書房(大阪古書会館)で買った鳥居篤治郎編『永遠の黎明』*3もこれにつながっている。どこまでも古本は古本を呼ぶのであった。
なお、本書によると、福田武雄『断食日記』は昭和51年刊行であった。