神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

昭和図書館の古書展に通う住谷悦治と絲屋寿雄

誰ぞと昭和図書館の噂をしてたらキター\(^o^)/
臨川書店のバーゲンで100円だった『春風秋雨ーー住谷(桔梗)よし江の八十六歳誕生日にーー』(住谷悦治、昭和51年11月)の絲屋寿雄「万歳(まんざい)ーー京都へ来られたころーー」に出てきたのだ。

今から四十年ばかりむかし、私は上賀茂の萩が垣内町に住んでいたが、よく宮崎町の先生のお宅に上った。そのころ河原町御池のあたりに古書籍商組合の会館があり、その二階で毎月、古書展がひらかれた。明治の社会主義文献や自由民権の古典に興味をもっていた私は欠かさず出かけたものだが、その都度住谷先生をお誘いした。

これは、「京都書籍雑誌商組合立昭和図書館」や「『日本古書通信』創刊号(日本古書通信社、昭和9年1月)」で紹介した京都書籍雑誌商組合立の昭和図書館のことだろう。絲屋によると、住谷(すみや)が古本市に行くと所持金すべてを古本代に使ってしまう(^_^;)ので、妻よし江は「持っているお金でみんな本を買ってしまうから、これだけしかもたしてやらない」と、坊やにお小遣いをもたしてやる母親のような感じで言っていたという。
年譜によると、よし江の略歴は、

明治23年 宮城県宮城郡松島村生まれ
大正2年3月 宮城県立女子師範学校卒業
10年 仙台第二高等学校時代の友人堀真琴を介して、住谷を知る。
11年5月 住谷と結婚
昭和8年7月9日 住谷、検挙
同年8月 住谷、同志社大学退職
9年 住谷、『文春』『京都新聞』の欧州特派員として渡欧
10年4月 住谷、シベリア鉄道で帰国。一家は京都下鴨宮崎町の借家へ移る。
12年4月 住谷、松山高等商業学校就職
24年7月 住谷、同志社大学教授に復帰
38年11月 住谷、同志社大学総長就任

なお、本書には住谷の弟磐根の「萬緑叢中紅一点」や同じく弟の完爾の「よし江姉と枇杷の思い出」なども収録されている。
昭和図書館ならぬ平成の京都古書会館では毎年一回古書展が開催されるだけである。毎月とは言わないがもう少し増やしてほしいものである。