神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

倉紡図書館の笠原史苑林

兼田麗子『大原孫三郎ーー善意と戦略の経営者』(中公新書、2012年12月)によると、孫三郎の明治36年1月24日の日記に、倉敷の民衆のための公会堂、図書館、公衆運動場の設置計画が記されているという。図書館については、

「図書館 図書館設立は人物吸収の良法なり。それには先ず第一に図書を蒐集しなければならない」

とあった。また、大正10年1月には、労働会館、簡易図書館を創設することを考えていたという。そして、

図書館に関しては、倉紡図書館が一九二一年に倉敷紡績本店内に設立された。ここには工場や本店に置かれていた多数の一般図書、工業図書、海外で購入した貴重文庫(ゲッチンゲン文庫、フェルボルン文庫)など、繊維工業、医学、農学関係の書籍が収められた。

という。この倉紡図書館を金沢文圃閣から復刻された『ブック・レビュー』で見かけた。一つは1巻11号、昭和2年9月の「新申込者芳名録(五)」で「倉紡図書館殿追加一部(岡山)」とある。もう一つは、2巻5号、3年4月に投稿された倉紡図書館笠原史苑林「出版業者へ註文」である。ここで笠原は、
・書物に索引を付けてほしいこと。
・書物の大きさを一定にしてほしいこと。できれば四六判位に統一してほしいこと。
・書物の頁の付け方を統一してほしいこと。
を述べている。「笠原史苑林」は筆名と思われるが、どういう人だろう。
追記:『図書館学関係文献目録集成』第1巻によると、「笠原」という人が『図書館(くにがまえに「書」)』1巻1号、大正15年10月に「学者ニ望ム」を書いている。

大原孫三郎―善意と戦略の経営者 (中公新書)

大原孫三郎―善意と戦略の経営者 (中公新書)