広告印刷物の実物付きの研究誌『プレスアルト』を昭和12年1月に創刊した脇清吉については、「ワキヤ書房の脇清吉とイスクラ書房の黒木重徳 - 神保町系オタオタ日記」などで紹介したところである。戦前分(~73号、昭和19年3月)*1は柏書房から復刻版が刊行され、戦後分(74号、昭和24年1月~)は平成30年10月江之子島文化芸術創造センターの「『プレスアルト』誌と戦後関西の広告展」に多数展示された。原本を一冊ぐらい欲しいと思っていたら、先月の大阪古書会館「たにまち月いち古書即売展」で見つけた。77号(プレスアルト会、昭和24年7月)で、シルヴァン書房出品1,000円。残念ながら、広告印刷物は付いていなかった*2。
77号は、戦死した3人のデザイナー、柴田可寿馬・原藤雄・佐藤英一郎の追悼号である。同時期に柴田や佐藤と大丸宣伝部で活躍し、プレスアルト復刊の発起人の一人でもある今竹七郎による追悼文「二つの流星」が載っていて、安い買い物だったと思う。
3人のうち、大丸京都店宣伝部にいた原の略歴だけ紹介しておこう。
原藤雄
原籍地 京都府船井郡富本村
大正2年3月 出生
昭和8年 京都高等工芸学校図案科卒業
? 霜鳥之彦・向井寛三郎・赤澤鉞太郎らと共に商業美術団体KBB*3を結成
昭和11年11月 大丸京都店宣伝部に転勤
昭和20年1月 レイテ島で戦死