神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

東大の博士論文に「神保町系オタオタ日記」登場ーー鈴木聖子『「科学」としての日本音楽研究』にスメラ学塾ーー


 国会図書館デジタルコレクションで全文検索の対象範囲が飛躍的に拡大され、研究環境に革命が起きたようだ。例えば、「神保町系オタオタ日記」で検索すると、鈴木聖子氏の博士論文『「科学」としての日本音楽研究:田辺尚雄の雅楽研究と日本音楽史の構築』(東京大学大学院人文社会系研究科、平成26年9月)がヒットして驚いた。
 国会図書館館内限定なので、早速確認してきた*1。注として、「神保町系オタオタ日記」内の「スメラ学塾」の連載が有用な情報を提供しているとある。わっ、ビックリ。日本音楽史関係の論文になぜ拙ブログが?と思っていたら、まさかのスメラ学塾に関連しての言及だった。他には、森田朋子論文、竹内孝治・小川英明論文、小田光雄「古本夜話122」にも言及している*2
 なぜ、日本音楽史関係の論文にスメラ学塾が出てくるかというと、田辺の『東洋音楽史』(雄山閣昭和5年9月)*3にスメル人と日本人が同祖というようなことを書いていて、鈴木氏はその背景として当時のバビロン学会の原田敬吾*4や『天孫人種六千年史の研究』(スメル学会、昭和2年12月)の三島敦雄に触れ、更にその延長線上として後年の小島威彦らのスメラ学塾にも言及しているからである。ただし、田辺がスメラ学塾と直接に関係があったというわけではない。
 博士論文の審査委員は、
渡辺裕東大教授
古井戸秀夫東大教授
佐藤健二東大教授
小林真理東大准教授
寺内直子神大教授
である。博士論文中の注に出てくる「神保町系オタオタ日記」を目にして、苦笑したか、「なんじゃこれは」と思ったりしただろうか。
 「人間グーグル」を自称してきたオタどんだが、国会デジコレの全文検索化により、そろそろ引退するか、「人間デジコレ」に進化しないと生き残れないかもしれない(^◇^;)
参考:「大塚英志『大東亜共栄圏のクールジャパン』(集英社新書)にスメラ学塾 - 神保町系オタオタ日記

*1:東京大学学術機関リポジトリ」でも読めます。

*2:博士論文を「一般の読者の方へ向けて大幅に書き直した」という『〈雅楽〉の誕生:田辺尚雄が見た大東亜の響き』(春秋社、平成31年1月)では、スメラ学塾には言及していない。ただし、「文献資料」として竹内孝治・小川英明論文を挙げている。

*3:平凡社東洋文庫からの復刻版(平成26年12月)の校注(植村幸生氏)(4)で、高楠順次郎について、「晩年の高楠は「スメラ学塾」の一員となり」とあるが、管見の限りではそのような事実はない。

*4:「日本人=バビロン起源説」を提唱した原田敬吾のバビロン学会と無教会主義の塚本虎二 - 神保町系オタオタ日記」参照