坪内祐三氏が平成17年4月2日から18年4月2日まで毎日新聞(東京版)で連載した「日記から 50人、50の「その時」」。取り上げられたのは、
夏目漱石、三島由紀夫、青野季吉、志賀直哉、野上弥生子、森田草平、高野悦子、柳田国男、中島健蔵、山田風太郎、江藤淳、木山捷平、阿部昭、尾崎紅葉、伊藤整、大宅壮一、浮谷東次郎、高見順、森銑三、神谷美恵子、大佛次郎、竹内好、岸田劉生、内田魯庵、山口瞳、武田百合子、大岡昇平、吉野秀雄、植草甚一、徳永康元、石川啄木、外村繁、黒田三郎、内田百輭、佐藤栄作、秋田雨雀、笹川良一、深代惇郎、木佐木勝、古川ロッパ、岡本綺堂、遠藤周作、小泉信三、中井英夫、依田学海、野口冨士男、永井荷風、添田知道、南方熊楠、樋口一葉、(番外)荷風とロッパの2・26
平成18年2月26日は70周年に当たる二・二六事件がらみの日記を紹介しようと考えていたが、紙面の都合で休載になったという。その幻の回に登場するはずだった日記は、秘密としている。日記好きのオタどんが推測してみると、複数の候補があるが、そのうちの一つを紹介してみよう。誰の日記かは、私も秘密にしておこう。
昭和11年2月26日 昨夜安さんたちと飲んで、飲み過ぎで、十時頃ぼんやり起きた。
宿酔だ。
坂本君の妻君が来て、
「東京は大変ですつて、岡田さんや大臣たちが大抵殺されちやつたんですつて」と云ふ話である。
冗談ではないらしい。(略)
里村が帰つて来て、これ又、「大変だぞ」つて云ふ。
大変だろうが何だろうが、宿酔で気持が悪いから誘つて二人で銭湯に行く。
郊外では別に変つたことはないらしい。静かなものだ。
なお、この連載は、「近く毎日新聞社から単行本として刊行され」るはずだったが、現時点でもその予定はないようだ。
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中西昭雄「ヨセバ・クリティーク 「文を売って、志を守る」を開拓した先駆者の評伝--黒岩比佐子『パンとペン--社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』を読む」『寄せ場』24号 という書評があるようだ。