神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

ポール・ケーラス『仏陀の福音』のもう一人の訳者

ポール・ケーラスのThe Gospel of Buddhaの邦訳は鈴木大拙の物がよく知られているが、八幡関太郎による大正8年9月誠文堂書店版もある。同書の「訳者序」によると、

自分が此本を始めて知つたのは今から四年前のことである。(略)
自分が此本を訳したのは矢張此本を買つた当時の事だ。其当時既に小泉兄の御世話で或本屋から出る筈であつたが、自分の方の都合に因て其儘になつて仕舞つた。


という。「四年前」というと大正4年のことになるが、秋田雨雀日記によると、大正5年が正しいようだ。

大正5年3月27日 八幡君がthe gospel of Buddhaを丸善で買ってきた。千家君*1のところに訳文があったそうだ。鈴木大拙さんの訳だ。八幡君に翻訳することをすすめた。小泉君が洛陽堂から出してもいいといったそうだ。

この八幡だが、ググったら、『白樺』の同人だった。『日本文壇史』第24巻には、『白樺』をとりまく衛星雑誌として大正5年6月に八幡、小泉鉄、楊田淳らによって創刊された『太陽の都』をあげている。

*1:千家元麿と思われる。