神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

久米正雄原作の映画『沈丁花』

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

馬場マコト『戦争と広告』(白水社、2010年9月)64頁に、久米正雄の「沈丁花」の映画化について書かれている。

新井(静一郎)が森永に入って一年が終わった。映画はトーキーの時代に入り、活況を呈していた。新井は朝日新聞に連載されて話題になっている久米正雄の「沈丁花」の映画化を思いついた。監督、出演者を人気投票で決める。撮影がはじまったら、森永の鶴見工場と松竹蒲田撮影所を見学するツアーを募集するのだ。朝日新聞と松竹に話を持ちこみ、タイアップキャンペーンをしかけると、たいへんな人気が集まった。

人気投票の結果、監督は野村芳亭、出演者は田中絹代や岡譲二らに決まり、昭和8年11月16日帝国館で封切となった。同日付東京朝日新聞朝刊によると、前日の15日森永製菓主催により朝日新聞社講堂で発表会が開催され、久米らが挨拶をしたという。

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