神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

黒岩比佐子さんの「古書の森日記」での愚痴

中之島図書館に『お茶の水図書館設立60周年記念講演会記録』(財団法人石川文化事業財団、平成21年3月)があった。20年12月13日に池坊お茶の水学院講堂で開催された黒岩比佐子さんと穂村弘氏の講演と対談「読書の楽しみ」が収録されている。講演の記録を読んでいると、なんか黒岩さんがまだご健在のような気分になった。

穂村 黒岩さんのネット上の日記を拝読すると、体調のことがよく出てきますね。今日は頭が痛いとか、今日は風邪気味、でも原稿を書かなきゃいけない。でもでも本を買いにいきたいと。すごいですよね。体調が悪くて原稿もあるのに、それでも本を買いにいきたいと、いつも書いていらっしゃって。本に対するあの執念というか、情熱はどこから来るんですか。
黒岩 ほら、受験勉強のときに本が読みたくなるんじゃないですか。
穂村 逃避するみたいな感じ。
黒岩 ええ。で、あの愚痴はですね、あの日記を読んでくれている何人かの人から、あれをやめないでくれ、という要望があって・・・。あれを読みたいという(笑)。

「(笑)」とあって、黒岩さんの笑顔が目に浮かんでくるが、この頃には病気が進行していたと思うと、つらくなる。

                                      • -

本日の朝日新聞には中島岳志氏による黒岩比佐子『パンとペン』の書評。「遺作となった本書は、著者の代表作として読み継がれるだろう。名著だ」とある。

26日付東京新聞夕刊「大波小波」は「黒岩比佐子の遺作」。「真摯な仕事と愛が、登場する無数の人物像に血肉を与え、名著を生んだ。書きたいことはまだ山ほどあったと思う。五十二歳での死は無惨すぎる」と。猫猫先生に「大波小波東京新聞の恥部」と言われた同欄だが、許してあげようか。