神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

小野賢一郎と東京日日新聞の伝書鳩利用計画


黒岩さんの『伝書鳩』(文春新書)に出てくる東京日日新聞による菱田少将の「鳩の講演会」や「伝書鳩利用計画」。東日の記者だった小野賢一郎が関係していたらしい。『明治・大正・昭和』(萬里閣書房、昭和4年4月)所収の「鳩通信の話」によると、

大正九年)六月二十一日、水戸市に於て鳩通信の講演会を開いた。
中野では陸軍々用鳩調査委員会事務所が出来て、フランスから教官を招聘し研究してゐた時代である。まだ長距離の練習はやつてなかつたが、菱田少将が鳩を携へて来て、東日の屋上庭園から放すや中野の鳩舎に戻つたといふのでビツクリして記事に書いたことがある。その縁故から菱田少将と相知つたのと、本山社長が鳩に非常な興味を有つて奨励されたのが一つの原因、また、私自身が小鳥が好きで少年の頃から鳥や兎を飼つてゐた等々の興味から、通信鳩を使つてみやうといふことになつた。/(略)/この鳩の講演会は諸方でやつた(略)
新聞社が鳩を通信に活用しようと肚を決めたのは実にこの時である。東日でもいよいよ鳩舎を拵へることになつたのは、私が事業課長になつた頃であつた。(略)
始め中野から十番、二十羽を分けて貰つたが、今日ではそれが七八百羽に殖えてゐる


小野が地方部副部長兼事業課長になったのは、大正9年12月。ちなみに、小野は大東亜伝書鳩総聯盟の創立賛成人でもあった。


(参考)昨年5月30日9月24日