書籍コード183は軍用鳩調査委員会編『軍用鳩通信術教程草案』(北林鳩具店印刷所、昭和10年)。これの原型は既に昭和2年6月には完成していたようだ。2007年3月17日に書いたが、井崎於菟彦大尉が、「鳩通信仮教程」を三田村鳶魚に渡している。三田村の日記の一部を再掲すると、
昭和2年6月18日 ○井崎大尉、鳩通信仮教程持参恵与、八重と三人にて天金会食、古本市にも往く。
7年8月6日 井崎少佐、同鳩夫。
8年5月28日 ○井崎少佐、満洲へ来る四日出発のよしにて来至、満雄さんの事を頼む。
8年8月26日 ○山田益次氏・井崎少佐今朝上京、帰るまで一度御尋可申と伝言。
8年10月14日 ○井崎少佐の妻、及び、満洲行につき暇勾ひ来る。
10年10月17日 ○ラヂオ聞きたりとて、井崎少佐新京より電報、如何にも其人らしくてよし。
その後判明した井崎の経歴を記すと、
大正12年9月1日 近衛師団司令部の鳩係り将校だった井崎に、特別命令が下り、日光御用邸に行き、東京との鳩通信に当たった(「大震災と伝書鳩」『文藝春秋』昭和32年10月号。執筆時の肩書きは、元通信学校鳩部長・日本伝書鳩協会顧問)。
昭和3年4月22日 陸軍通信学校付軍用鳩調査委員[会]幹事歩兵大尉井崎於菟彦は、熊本師団に属し青島に向うため、野口曹長を従え、軍用鳩を携えて、同月21日東京駅を出発(東京朝日新聞)。
8年5月31日 「日本伝書鳩協会/陸軍歩兵少佐」井崎於菟彦が、午後6時25分ラジオ(JOAK)で、「日本に於ける民間伝書鳩の今昔」を講話(東京朝日新聞)。
8年 日本陸軍の鴿通信研究家陸軍少佐井崎於菟彦を満洲国軍の応聘武官として採用し、鴿通信の教育整備をはかった。12年9月11日軍用鴿育成所が寛城子に完成し、鴿の育成と鴿通信士の教育を開始した(蘭星会『満洲国軍』)。
この井崎の子供である井崎鳩夫(と井崎鳩児?)が健在ならば、ぜひ黒岩さんに取材してもらいたいものである。
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渋谷のブックファーストでも始まった。
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