神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

井伏鱒二がリポートする大原漁業組合の伝書鳩通信


井伏鱒二の「外房の漁師」*1によると、

ここの大原漁業組合には伝書鳩を飼つてゐる。現在、七十羽ゐるさうだ。漁師は万一必要だと思ふときにはこれを三羽づつ持つて沖に出る。網が岩礁に引つかかつて潜水夫を入用のとき、または魚の大群に遭つて仲間の船を呼ぶときなどに船から鳩を放つ、鳩も人間と同じく船に酔ふのと酔はないのがゐる。(略)酔ひを醒ましてから漁業組合の鳩小屋に向つて飛んで行く。組合では鳩小屋のベルの音で、直ちに通信に応じる処置をとるのである。


伝書鳩の基本書というか、現在入手できる唯一の本である黒岩さんの『伝書鳩』(文春新書)にも、昭和33年春、千葉県大原漁業組合に協会海洋通信所が完成したことが書かれていた。

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藤原書店の別冊『環』の特集「図書館・アーカイブズとは何か」がようやく出たらしい。

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久しぶりに海文堂書店へ。なぜか店頭で愛媛のみかんを売ってたりする。『佐野繁次郎装幀集成――西村コレクションを中心として』が西村義孝・林哲夫両氏のサイン入りで売っていた。


現代書館のフォー・ビギナーズ・シリーズが生まれ変わって、『民俗学の愉楽』(谷川健一)、『北一輝の革命』(松本健一)刊行。と、『出版ニュース』で知る。

*1:「釣師・釣場」『小説新潮』昭和34年1月号〜12月号。『井伏鱒二全集第二十一巻』所収