神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

永代静雄の鳩事報国


書物奉行氏が「文献報国」とすれば、黒岩さんは「鳩事報国」というべきか。
「鳩事報国」って、「オタさんの造語か?」って・・・
戦前そういう言葉があったみたいなのだ。『戦時下日本文化団体事典』第3巻(大空社、1970年7月。底本:『日本文化団体年鑑 昭和十八年版』)によると、

中央普鳩会 
所在地:東京市荏原区豊町二ノ一三二二
役員:会長永代静雄、総務伊藤秀三、参事弁護士有賀岩己、本部顧問陸軍大佐長谷栄二郎、陸軍少将佐藤直、五十島鶴松
組織:個人経営(全国に同志を約一千名有す)
設立の目的及事業 伝書鳩の普及、改良、研究、鳩事報国を目的とし、各種競翔、陳列品評会、講演会、軍への献納、鳩事研究の為の専門委員会組織、その研究の発表、専門出版物及月刊「普鳩」の発行等を行ふ
沿革及既往事業:定期出版物 昭和十年四月創刊、十八年一月第九十四号発行


永代静雄(ながよしずお。明治19年2月−昭和19年8月)は、田山花袋「蒲団」の横山芳子のモデル岡田美知代と結婚した人。同作品で芳子の相手の田中秀夫に当たる。永代と伝書鳩の関係については、『日本近代文学大事典』にも書かれていた。しかし、永代と伝書鳩というのはどういうつながりがあるのだろうか。東京毎日新聞、東京毎夕新聞、中央新聞に在職したから新聞社での伝書鳩利用と関係があるのかしら。


なお、永代は、ヨコジュン「明治時代は謎だらけ! SF作家としての永代静雄*1によると、『小説 終篇不如帰』(明治出版協会、大正4年4月)の著者永代湘南と同一人物であることが発見され、花袋研究家丸山幸子先生をびっくりさせたことでも知られている。

*1:日本古書通信』平成8年7月号。『古書ワンダーランド①』平凡社、平成16年1月所収