神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

プチ・ブル的図書収奪


中生勝美氏の民族研究所に関する論文については、佐野眞一氏の著書に言及されているが、現物を見たら面白いことが書いてあった。岡村敬二氏や、東條文規氏の著書にも書いてないと思ふ。「民族研究所の組織と活動−戦争中の日本民族学」(『民族学研究』62巻1号)によれば、

関係者の記憶によれば、民族研究所の蔵書は、海軍が中国で没収した図書で、南開大学・清華大学・王立アジア協会(中略)・梅蘭芳蔵書があった。また、どこから持ち込まれたのかはっきりしないが、「仏印」(ベトナム)からも図書が来たという。これらの没収図書は、横浜に入港すると、税関から民族研究所に通知があり、(中略)。廃庁後は、1946年4月に(中略)民族研究所の蔵書9,644冊が京都大学に移管された(中略)
また、京都大学に移管した図書以外は、戦後の混乱の中で売却されると言う「不祥事」が生じ、民族研究所の蔵書と一緒に疎開させていた個人蔵書も、同時に紛失したという(徳永・鈴木談)。


うーむ、帝国主義的図書の収奪の他に、プチ・ブル的(笑)図書の収奪もあったみたいだね。