神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

2018-01-01から1年間の記事一覧

高橋輝次様、『関西文学』を買ったのは実は私です。

善行堂で『ほんまに』19号特集「わたしたちの少女文化」を購入。高橋輝次「兵庫文芸史探検抄」を読んでいたらビックリ。昨年12月大阪古書会館で開催された「全大阪古書ブックフェア」での出来事として、 (略)書友O氏に声をかけられた。氏によれば、今回、池…

谷崎潤一郎が頼りにした京都の古書店京阪書房

谷崎潤一郎が命名した東一条の新刊書店春琴堂書店が3月末で閉店。さすが谷崎縁の店ということで谷崎のコーナーがあった。驚くことには、平成27年から29年にかけて刊行された『谷崎潤一郎全集』(中央公論新社)まで置いてあった。大書店でも置いてない方が多い…

『藻塩草ーー武富義夫さんのことーー』を羨む

昨年、中上彩子さんから『藻塩草ーー武富義夫さんのことーー』をいただき、ありがとうございました。61頁、非売品限定500部の冊子(造本は真田幸治氏)である。昨年亡くなられた武富義夫という著作権仲介エージェントの追悼本。目次は、 なかにし礼 武富義夫追…

趣味人をつなぐ豊橋趣味会の舟橋水哉

大谷大学博物館では、しばしば大学に関係した仏教者の展覧会が開催される。昨年1月11日から2月10日まで開催された「仏教典籍の宝庫 三舟文庫舟橋水哉コレクション」では、三舟文庫の旧蔵者舟橋水哉(1874-1945)が登場。全然知らない人だったが、展示のパネル…

鹿野治助日記から見た戦時下における本野精吾の絵画教室

書砦・梁山泊から8600円で買った鹿野治助の日記。京都学派の哲学者に関する記載だけで元は取れるが、戦時下の本野精吾に関する記載も興味深い。 (昭和十七年二月) 二十五日 水 午後本野さんと訥庵先生の曾孫大橋氏を訪ねしも留守、本野さんの家で、畫を見せ…

拝啓 壽岳文章様ーー菊地暁「拝啓 新村出様」を読んでーー

菊地暁先生が『国立歴史民俗博物館研究報告』165集(2011年3月)に発表した「拝啓 新村出様ーー柳田国男書簡からみる民俗学史断章ーー」。だいぶ前にいただきましたが、ありがとうございます。面白いので何度も読み返している。菊地論文を読んで幾つか気付いた…

鹿野治助の日記から見た物語「京都学派」再び

書砦・梁山泊の目録*1から鹿野治助(かの・じすけ)の日記を入手。博文館の『昭和十七年当用日記』に昭和17年1月1日から22年10月10日まで断続的に記載されている。鹿野は明治34年生、平成3年没なので、前後の日記も存在すると思われるが、本日記は敗戦前後とい…

日高みほが創った?朝鮮文人協会と李光洙

李光洙(イ・グァンス)という文学者がいた。韓国の夏目漱石に当たる文学者だったという。わしは作品も読んでなくて、ほとんど知らないのだが、三村三郎『ユダヤ問題と裏返して見た日本歴史』(日猶関係研究会、昭和28年8月)に名前が出てきて初めて知った人物で…

第五高等学校出身だった谷崎潤一郎の友人小野法順

谷崎潤一郎の友人で知恩院の僧侶や後藤新平の秘書を務めた小野法順については、「まさか、あの小野法順か!?」や「後藤新平の秘書小野法順」で言及したところである。本おや(本は人生のおやつです!!)で入手した長田幹彦『青春時代』(出版東京、昭和27年11…

中島俊郎「文化遺産としての向日庵」をいただく

『甲南大学総合研究所叢書』132号に掲載された中島俊郎「文化遺産としての向日庵ーー過去を見つめ、未来を見すえる「開かれた場」ーー」の抜刷をいただきました。ありがとうございます。「向日庵」(こうじつあん)は壽岳文章・しず一家が住んでいた向日市の住…

竹中郁の住所が書かれた『働く人の詩』2号(新大阪新聞社)

12月の全大阪古書ブックフェアで『働く人の詩』2号(新大阪新聞社、昭和22年7月)を300円で。1階奥の店で、全品値付けされておらず、値段は聞かないとわからないという露天の骨董屋みたいな店であった*1。レジもここだけ合同レジではなく、単独のレジ。足立巻…

荻原井泉水が見たバーナード・リーチのエッチング教室

荻原井泉水の日記『井泉水日記 青春篇』(筑摩書房)、やはり恐るべき日記であった。バーナード・リーチが出てくる。 (明治四二年) 十月五日 朝二時間ノ聴講ヲ終ヘテ上野桜木町ニバーナード・リーチ氏ノ寓居ヲ訪フ。番地ハ知ラヌガ多分此ノ辺ト思フテ入ツタ横…

古本屋だった川柳家麻生路郎

『麻生路郎読本』(川柳塔社、平成22年9月)を読む機会があった。川柳家として著名な人らしいが、知らなかった。年譜を見ると、古本屋葵書店を経営するなど面白い経歴だったので、一部を抜き書きしてみよう。 明治21年7月 広島県尾道市生。本名幸二郎 43年3月 …

谷沢永一が桑原蔵書問題に喝!?

昨年文庫櫂で買った『千稜』創刊号(関西大学文化部、昭和25年11月)。冒頭に学長岡野留次郎「文化祭に際して」、学友会委員長東浦栄一「文化誌"千稜"発行と"文化祭"挙行によせて」と文化部長土屋雅信「文化祭に寄せて」が掲載されている。これらによると、…

『百人一趣』下巻(土俗趣味社、昭和21年)の執筆者

引き続き『百人一趣』下巻の執筆者一覧(タイトルは一部)です。 潁原退蔵 尼が紅粉と俳諧 相場成哉 鈴木重光 樫山嘉一 宮尾しげを 近頃噂噺 紫水 京の春 小井川潤次郎 宮良当壮 琉球官話集に就いて 山本修之助 のろま人形雑話 沢田久夫 謄写版と郷土史 工藤…

『百人一趣』上巻(土俗趣味社、昭和21年)の執筆者

土俗趣味社から昭和21年に発行された『百人一趣』については「土俗趣味社の『百人百趣』ならぬ『百人一趣』を確保ーー『柳田國男全集』の誤りを正すーー」で紹介したところである。年末の書砦梁山泊の読書会で「今年の一冊」としてあげたらわりと好評だった…