神保町系オタオタ日記

自称「人間グーグル」

『姫路の史蹟』(昭和15年)を書いた兵庫の郷土史家島田清ーー昭和戦前期における「観光コース」の使用例ーー


 島田清『姫路の史蹟:特ニ増位観光コースの史蹟』は、平安蚤の市で200円で買ったのかな。昭和15年2月3日に姫路商工会議所で行った講演の概要のようだ。目次を挙げておく。

 未知の人物だが郷土史家と思われる島田清や「観光コース」という用語に惹かれて、購入。島田の経歴は、『ふるさとの遺香:兵庫県文化財アルバム』(のじぎく文庫、昭和34年9月)の「著者略歴」から要約すると、

明治44年 神戸市生
昭和6年 姫路師範卒
? 県立兵庫高校教諭
戦後 教育委員会に入り、社会教育課文化係長
長年郷土研究に従い『明石城』他10数著

 これに補足すると、グーグルブックスによると、その後姫路学院女子短期大学教授になったようだ。
 「観光コース」という言葉が戦前からあったのには、驚いた。読売新聞・朝日新聞のデータベースや「ざっさくプラス」では、戦前の使用例は無かったので、戦前期ではあまり定着した用語ではなかったのだろう*1国会図書館サーチでは、猪野里親編『別府案内地獄めぐり:観光記念』(竜古堂出版部、昭和2年頃)の部分タイトルに「観光コース略図」とあるのが、最も古いようだ。「次世代デジタルライブラリー」では、昭和13年衆議院に「名護屋村ヲ起点トシ唐津市嬉野町ヲ経テ雲仙ニ至ル国際観光コース建設ニ関スル建議案」が提出されたことが分かる。

*1:読売新聞埼玉版昭和8年9月23日朝刊に「探勝コース」という例はある。