玉川信明『田村栄太郎』によると、田村に「天皇抹殺史」という遺稿があるが、内容の突飛さと天皇問題だけに、どの出版社もへっぴり腰になってしまって、刊行されなかったらしい。その遺稿の中で田村は、ゾロアスター教の日本伝来説を主張していた。
この書において田村は、『日本書紀』『古事記』『続日本紀』を言葉の面から追求していくと、日本の古代にゾロアスター教(拝火教)の入っていたことがわかると説明する。
松本清張以前に田村がゾロアスター教日本伝来説を提唱していた*1とは驚き。清張は田村の遺稿を見ていないと思うが、田村が『図書新聞』昭和35年6月4日のインタビュー「風変わりな歴史家 田村栄太郎さんの仕事」で、「日本に拝火教が入っているということがはっきりしている」と語っているので、清張は知り得たわけではある。